表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
28/48

②式典の始まり

静寂の中——

司会進行を務めるキッザニア東京・運営責任者の水瀬みなせ 綾乃あやのが、ゆっくりと右側の演説台へと歩み出る。


キッザニアのロゴが掲げられたその演説台の前に立ち、一度、会場全体を見渡す。

わずかに息を整えそして、口を開いた。


「報道関係者様、メディアの皆様、そしてキッザニアユーザーの子どもたち、本日ご来園の親子連れの皆様。

本日はお忙しい中、また遠方より、これだけ多くの皆様にキッザニア東京へお越しいただき、誠にありがとうございます。

大変長らくお待たせいたしました。

2014年より、日本サイバーサイジング社様と共同で構想を進めてまいりました本パビリオンは、同年の着工式を経て、本日いよいよここキッザニア東京にて、待ちに待った日本サイバーサイジング社パビリオンのオープンを迎えることとなりました。」


会場に、わずかなざわめきが広がる。


「本日はそのオープンに先立ち、オープニング式典を執り行わせていただきます。」


一礼。

本日、司会進行を務めさせていただきます、キッザニア東京・運営責任者の水瀬 綾乃と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

軽く頭を下げる。


「なお、開式に先立ちまして、お子様連れの皆様にお願いがございます。お子様の手をしっかりとお繋ぎいただき、ステージには上がらないようご配慮をお願いいたします。」


その言葉と同時に拍手が起こる。

フラッシュが一斉に焚かれる。


水瀬はそのまま視線を上げ、進行を止めない。


「それではさっそく、オープニングセレモニーを開始させていただきます。

本日は、キッザニア公式サイトおよび公式パンフレットにも記載されておりました通り、すでに噂でも話題となっておりますが、本日のためにサイバーサイジング社アメリカ本社より来日され、キッザニアにお越しいただいているスペシャルサプライズゲストをお迎えしております。

それではその方々にも、ご登場いただきましょう」



その直後ファンファーレが鳴り響く。


同時に、会場の視線が一斉に左側へと引き寄せられる。

レッドカーペットの入口。

そこに、ゆっくりと姿を現したのはアダソン夫妻、続いて、日本サイバーサイジング社支社長・夏美サーベラス。

そして最後に、東京キッザニア代表取締役社長・橘 恒一。

一列の隊列が、静かに、しかし揺るぎなく前へ進み出る。


挿絵(By みてみん)


その瞬間、会場の空気が、一変した。


「え……っ」

「うそ……」

「アダソン夫妻……?」


前列の親子が思わず声を漏らす。

先ほど交わされていた“もしかすると”という予測が、現実となった瞬間だった。


「本当に来た……」

「やっぱり……!」


別の場所からも、驚きと納得が入り混じった声が広がる。


そして次の瞬間、歓声。

それは抑えきれない反応だった。

拍手が爆発的に広がる。

子どもたちが思わず身を乗り出す。

保護者たちも、思わず息を呑みながらその姿を見つめる。


報道関係者たちは、一斉にシャッターを切る。

フラッシュがこれまでとは比較にならないほど激しく、連続して焚かれる。

白い光が断続的に弾け、会場全体を包み込むように明滅する。


その中心をアダソン夫妻は、まっすぐに歩いていた。

歓声も、フラッシュも、すべてを前提としているかのように。

その動きに、迷いは一切ない。


挿絵(By みてみん)


やがて一行は、ステージへと到達する。

水瀬 綾乃が立つ演説台へと向かい、定められた位置へと順に登壇していく。

その瞬間まで会場の熱は、なおも上がり続けていた。



会場の熱は、なおも高まり続けていた。

そのタイミングを見計らい、司会進行を務めるキッザニア東京・運営責任者の水瀬みなせ 綾乃あやのが、再び一歩前へ出る。

「さあ、ステージには四人の方々にご登壇いただきました!」

会場に、改めて拍手が広がる。


「舞台向かって私の右側から、本日の豪華スペシャルサプライズゲストとして、わざわざ本日のために来日してくださいました。

創業から20年にわたり、世界の文明と社会基盤を支え続けてこられ、世界各国・地域に125の支社と150人の支社長体制を築き上げた、サイバーサイジング社の創業者ご夫妻であり、その意思と判断をもって世界、国家、文明のITインフラを支えておられる、代表取締役CEO、アラクネ・アダソン婦人です!」


アラクネアが、静かに一礼する。


その瞬間——

拍手と歓声が一気に高まる。

フラッシュが激しく焚かれる。


「そしてその隣——同じく創業から20年にわたり、世界の文明と社会基盤を支え続けてこられ、世界各国・地域に125の支社と150人の支社長体制を築き上げた、サイバーサイジング社の創業者ご夫妻であり、その意思と判断をもって世界、国家、文明のITインフラを支える、代表取締役CEO、アレックス・アダソン氏です!」

アレックスが、わずかに前へ出て一礼する


再び、拍手と歓声。

さらに強まるフラッシュの光。


「そしてそのまた隣——アダソンご夫妻両CEOとともに、本日のスペシャルサプライズゲストとしてお越しいただきました、日本サイバーサイジング社 支社長、夏美サーベラス様です!」

夏美サーベラスが、正確な動きで一礼する。

拍手。歓声。そして、断続的に弾けるフラッシュ。


「そしてその隣——東京キッザニア代表取締役社長、橘 恒一です!」

橘 恒一が、一歩進み、深く一礼する。

会場全体から、あたたかく、しかし力強い拍手が広がる。


水瀬が、全体を見渡し、再び口を開く。

「以上、四名の皆様にご登壇いただきました!」

拍手が、ゆっくりと収まっていく。


そして——

「それでは本日、豪華なスペシャルゲストとして、わざわざこの日のためにアメリカ本社から来日お越しいただいた、サイバーサイジング社代表取締役CEOアダソン夫妻にご挨拶いただきましょう。」


会場の空気が、一段階きりりと張る。


「まずは、サイバーサイジング社代表取締役CEOアレックス・アダソン氏からご挨拶いただきます。」


その言葉の直後、フラッシュがいくつも瞬いた。


まず一歩前へ出たのは——

アレックス・アダソンだった。


その動きは無駄がなく、まるで“決められた軌道”をなぞるように正確だった。

彼は観客を見渡す。

その視線は、誰か一人を見るものではなく、“今この場”という現実そのものを捉えていた。


挿絵(By みてみん)


そして、アレックスが口を開く。

「キッザニア東京代表取締役社長の橘 恒一様、キッザニア東京・運営責任者の水瀬 綾乃様、キッザニアスタッフの皆様、キッザニアユーザーの子どもたち、そして本日お集まりのすべての関係者の皆様——このような大変貴重で重要な機会をいただき、私たちサイバーサイジング社は大変光栄に思っております。

本日は単なる祝賀の日ではなく、長い年月をかけた決断が、目に見える形に到達した日でもあります。

このプロジェクトの始まりは、キッザニア様からのご提案、そしてキッザニアユーザーの子どもたちから寄せられた『サイバーサイジング社の本当の仕事を知りたい』、『もっと現実に近い体験がしたい』という声でした。


正式な契約会合と構想の始まりは2014年です。

そこから2014年から2017年までの3年間、キッザニア代表の皆様、運営責任者の皆様、現場スタッフの皆様と長い時間をかけて構想を重ねてまいりました。

丸の内支社やアメリカ本社にも何度もお越しいただき、現場の社員と直接面会し、職場環境を見ていただきました。

また、キッザニアユーザーの子どもたちにも実際に丸の内支社やアメリカ本社へ足を運んでいただき、職場見学や一部業務体験を通して、どのような体験があればよいのか、何に憧れるのか、どのような業務が分かりやすいのかを一緒に検証してまいりました。


その後、2017年に起工式を迎え、そこから2年間の建設と最終調整を経て、本日2019年、グランドオープンに至っております。

その結果、本パビリオンでは、チーム作業、実践的なプログラミング、そして判断の流れそのものを体験できる構造が形になっております。

また、システムエンジニア、ITエンジニア、サーバーエンジニア、インフラエンジニア、ソフトウェアエンジニア、プログラマーといった業務が、子どもたちにも分かりやすく、なおかつ現実の雰囲気に近い形で学べるよう設計されています。


1999年の創業以来、サイバーサイジング社の教育施設は、社員とその家族のための社内施設に限られていました。

今回のように、社外に向けて、社員と家族以外の方々に開かれた教育テーマ施設を構築するのは、創業以来初めてです。

その意味は非常に大きいものです。


また、このプロジェクトは長期にわたる構想期間と建設期間を必要としました。

現実を分かりやすく伝えながら、現実らしさを失わないようにするため、何度も調整と見直しを重ねてまいりました。

本プロジェクトには、約800億円から1000億円規模の投資を行っております。


これは装飾のための投資ではありません。

未来に対する社会的投資であり、意思の表明です。

この場所は存在すべきか——その問いに対する答えが、今ここにあります。

本日まで尽力してくださったキッザニアの皆様、現場の社員の皆様、研究に協力してくれた子どもたち、そしてご家族の皆様に、心より敬意と感謝を申し上げます。

そして今、ここ東京で私たちサイバーサイジング社は、この場所の存在を明確に承認いたします。」


その直後——

同じ位置に、同じ角度で、同じ間で。

夏美サーベラスが一歩前へ出てアレックスの日本語通訳を行った。

その通訳はは、今のアレックスと『ほぼ完全に一致していた』”。


拍手が、わずかに遅れて始まる。

前方の親子席から広がったその拍手は、次第に会場全体を包み込んでいった。


引き続き司会進行のキッザニア東京・運営責任者の

水瀬みなせ 綾乃あやのが、前へ進み出る。

「アレックス・アダソン氏のご挨拶でした。貴重なご挨拶ありがとうございました。」


一礼。


「続いて、同じくサイバーサイジング社代表取締役CEO、アラクネア・アダソン婦人にご挨拶いただきましょう。」


次に、アラクネア・アダソンが前へ出る。

空気が変わる。

それは圧ではなく、深度だった。

彼女は、観客一人ひとりを見る。

『未来を見るように』、そして、静かに話し始める。


「本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。

そして、メディアの皆様、遠方からお越しのお客様、キッザニアユーザーの子どもたち、日本サイバーサイジング社のキッザニアパビリオンへようこそお越しくださいました。

本日、待ちに待った日本サイバーサイジング社のパビリオンが、ここ東京豊洲のキッザニア東京にいよいよグランドオープンいたします。


私たちサイバーサイジング社は、1999年の創業以来、本日こうして20周年という節目を迎えることができました。

ここまで歩んでこられたのは、多くの皆様の支えがあったからです。心より御礼申し上げます。


そして、なぜこのタイミングでこのパビリオンを開業するのか——その意味もまた、私たちにとって大きなものでした。

2019年は、サイバーサイジング社にとって創業20周年の記念すべき年です。

この節目を、ただ振り返りの年にするのではなく、“次の未来を開く年”にしたいと私たちは考えました。

さらに、東京は翌年に開催予定の東京オリンピックを控え、世界に向けて大きく開かれていく都市でもあります。

そして私たちサイバーサイジング社もまた、2020年東京オリンピックのスペシャルスポンサーとして、この歴史的な節目に関わらせていただく立場にあります。

この都市が世界を迎える前に、未来を受け継ぐ子どもたちに何を渡せるのか。

何を見せ、何を感じてもらうべきなのか。

その問いが、この開業時期を決定づけました。

だからこそ、このパビリオンは2019年という年に開かれる必要がありました。


私たちサイバーサイジング社がこのプロジェクトで大切にしてきたのは、『何を見せるか』だけではなく、『何を感じさせるか』でした。

構想期間中、キッザニアユーザーの子どもたちを丸の内支社やアメリカ本社にお招きし、どのような業務を体験したいか、どのようにすれば分かりやすいか、どのようにすれば憧れを持てるかを、実際に体験や見学を通して一緒に考えてまいりました。

システムエンジニア、ITエンジニア、サーバーエンジニア、インフラエンジニア、ソフトウェアエンジニア、プログラマー——そうした仕事を、単に説明するのではなく、現実の空気を残したままどう伝えるかを重ねて検討してきました。


その中で問われ続けたのは、『未来に対して正しい形になっているか』ということでした。

子どもたちは知識だけでなく、価値観も受け取ります。

だからこそ、このパビリオンでは、技術のすごさだけではなく、その技術が誰のためにあり、どのような責任と影響を持つのかを感じ取れるように構想されています。

この場所は、ただ完成した施設ではありません。

日本の子どもたち、そして将来は世界中の子どもたちに向けた、新たな始まりです。


ここに至るまでご尽力くださったキッザニアの皆様、何度も調整を重ねてくださったスタッフの皆様、この日を待ってくださったご家族の皆様、そして何より、この場所を形作る問いを与えてくれた子どもたちに、私たちサイバーサイジング社は深く感謝しております。

そして本日ここから先、この場所に足を踏み入れる皆様は、単なる体験ではなく、未来へつながる責任の一端に触れることになります。

私たちサイバーサイジング社は、その新たな始まりに立ち会えたことを心より光栄に思っております。」


静かな沈黙。


今度の拍手は——

先ほどより早く、そして深い。


夏美が前へ出てアレックス同様に、アラクネアの通訳をする。

今度は——

ほんの僅かに、『人間らしい呼吸』があった。

一礼。


その直後、司会進行のキッザニア東京・運営責任者の

水瀬みなせ 綾乃あやのが再び前へ進み出る。

「以上、アラクネア・アダソン婦人のご挨拶でした。お二人の貴重なご挨拶、誠にありがとうございました。」

一礼。


「続きましては、本日引き続きスペシャルゲストとしてお越しいただいている、日本サイバーサイジング社の支社長、夏美サーベラス様にご挨拶いただきます。」

拍手とフラッシュが同時に広がる。


「サイバーサイジング社代表取締役両CEO、アレックス・アダソン様、アラクネア・アダソン様に引き続き、本日はお忙しい中お越しいただき、誠にありがとうございます。また、このような式典を開催していただきましたキッザニア東京の皆様、関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。そして、本プロジェクトの実現にあたり、多くの方々のご協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。


先ほど、両CEOより本プロジェクトに関する理念と判断が示されました。それらは説明ではありません。本プロジェクトにおける基準です。サイバーサイジング社において、判断とは個別に存在するものではなく、全体に適用される構造として定義されます。

私の役割は、それを日本において運用可能な形へ変換することです。理念を解釈することではなく、実行可能な形へ落とし込むこと。意思を言語化することではなく、手順として再構築することです。


本パビリオンにおいては、両CEOの示された通り、現実を簡略化せず理解可能な形で提示すること、作業ではなく判断の流れを体験させること、この二点を基準として設計および運用が行われています。その結果として、本施設では、チーム単位での業務遂行、役割に応じた判断、そして結果に対する責任の構造を、子どもたちが体験できる形で構築しています。


サイバーサイジング社において、支社とは独立した判断機関ではありません。本社の意思を、そのまま再現することを目的とした実行単位です。

したがって、本日ここで運用される内容は、すべて本社の判断に基づくものとなります。そして同時に、その判断が、この社会において成立するかを検証する責任もまた、私たち支社にあります。本パビリオンは、その検証の一部でもあります。

さらに本パビリオンは、翌年開催予定の2020年東京オリンピックに向けて、本日まで準備を重ねてきた取り組みの一つでもあります。サイバーサイジング社グループ全体としても、この国際的な節目に向けた取り組みを重要なものと位置づけております。私たちは、2020年東京オリンピックを応援しています。


本日この場にお越しいただいた皆様が、この場所で何を感じ、何を持ち帰るのか、それもまた、この構造の一部となります。

そして、日本サイバーサイジング社を、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

本日は誠にありがとうございました。」



再び司会進行のキッザニア東京・運営責任者の

水瀬みなせ 綾乃あやのが前へ進み出る。

「以上、夏美サーベラスのご挨拶でした。貴重なご挨拶、誠にありがとうございました。」

一礼。


「続きましては、キッザニア代表取締役社長 橘 恒一様にご挨拶いただきます。」

拍手が広がる。


壇上へ——

橘 恒一がゆっくりと歩み出た。

その歩みは、先ほどまでの三人とは明確に違っていた。

わずかな迷いと、確かな重みを伴った『人間の歩き方』だった。

一度、会場を見渡す。

そして、口を開く


「本日スペシャルゲストとしてお越しいただいたサイバーサイジング社代表取締役両CEOのアダソンご夫妻様、そして日本サイバーサイジング社の支社長、夏美サーベラス様、本日はお忙しい中ご登壇いただき誠にありがとうございます。また、お三方から大変素晴らしいご挨拶を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。そして改めまして、メディアの皆様、本日ここ東京キッザニアにお越しいただいた親子連れの皆様、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます。


まずはサイバーサイジング社が本年、創業20周年という大きな節目を迎えられましたこと、心よりお祝い申し上げます。これまでの20年間の長きにわたり、世界の文明と国家のインフラを支え続けてこられたサイバーサイジング社代表取締役両CEOのアダソンご夫妻様のご功績に、深い敬意を表します。

また昨年2018年には、両CEOが天皇皇后両陛下に招かれ来日され、皇居にて天皇皇后とご対面されたことが世界中で報道され、大きな話題となりました。その姿を拝見し、私自身、一企業の枠を超えて社会と向き合う存在であることを、あらためて強く実感いたしました。


さらに、その価値観は次の世代にも確かに受け継がれていると感じております。

アダソンご夫妻両CEOのご子息であるアダソン兄弟におかれましては、2016年にはご長男ジェイムズ・アダソン氏が、そして昨年2018年にはご次男マック・アダソン氏が、いずれも親からの特別な扱いを受けることなく、ギネス認定の世界で最も倍率高く世界で最も難関とされる入試選考過程を経てサイバーサイジング社に入社され、それぞれシステムエンジニアとして従事されていると伺っております。このような徹底した基準と姿勢にも、深い敬意を表したいと思います。


先ほどサイバーサイジング社代表取締役CEOのアレックス・アダソン氏のお話にもございました通り、本プロジェクトの発端は、キッザニアをご利用いただいている子どもたちの声でした。『本当の仕事を知りたい』、『現実に近い体験がしたい』その言葉を受けて、キッザニアとして、私自身として、日本サイバーサイジング社様をこのキッザニアのパビリオンとしてお迎えしたいと考え、最初にお声がけをさせていただいたのがこのプロジェクトの始まりでした。


2014年、初めてサイバーサイジング社代表取締役両CEOのアダソンご夫妻様、そして日本サイバーサイジング社の支社長の夏美サーベラス様とお会いし、契約に向けた会合を行った時のことを今でもはっきりと覚えております。正直に申し上げますと、最初に感じたのは圧倒的な精度でした。言葉の一つ一つ、判断の一つ一つに無駄がなく、すべてが明確な構造として提示されていた。同時に、それは非常に高い基準でもあり、この企業と共に何かを作るということがどれほど難しい挑戦になるのか、その場で理解しました。


その後、我々キッザニアと日本サイバーサイジング社の丸の内支社、そしてサイバーサイジング社のアメリカ本社へと足を運び、実際の現場を見させていただきました。そこにあったのは想像していた以上に現実そのものでした。整えられた展示ではなく、実際に稼働している環境、説明のための空間ではなく日々の業務が行われている場所でした。そしてその中で働く方々の姿を見て、これをそのまま子どもたちに伝えることの難しさと同時に、これこそを伝える価値があると強く感じました。


また、キッザニアユーザーの子どもたちの声を改めて聞いた時、私たちは大きな気づきを得ました。子どもたちは決して簡単なものを求めているわけではなく、むしろ難しくてもいいから本物を知りたい、そう思っているのだと感じました。


しかし、それを実現することは簡単ではありませんでした。現実をそのまま持ち込めば理解できず、かといって簡略化すれば本質が失われる。その間で何度も議論を重ね、何度も設計を見直しました。


また、両CEO、そして夏美サーベラス支社長様のお話にもありましたように、翌年開催予定の2020年東京オリンピックに向けてこのパビリオンを開業させるという目標も早い段階で共有されておりました。世界がこの東京に集まるその前に、子どもたちに未来を考えるきっかけとなる場所を届けたい、その想いのもと時間との戦いでもありました。


そして本日、こうしてこの場に立つことができています。ここに至るまでに関わってくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。このパビリオンは単なる体験施設ではありません。子どもたちが社会の構造に触れ、共に未来を考えるための入り口です。そしてその問いは子どもたちだけでなく、私たち大人にも向けられています。本日は誠にありがとうございます。」


水瀬みなせ 綾乃あやのが、あらためて一歩進み出た。


「キッザニア代表取締役社長 橘 恒一様から以上です。素敵なお言葉をいただきありがとうございました。それではいよいよ、私、運営責任者の水瀬 綾乃よりご挨拶申し上げます。改めまして、橘社長より貴重なお言葉をいただき、誠にありがとうございました。また、本日のこのような機会において、スペシャルゲストとしてお越しいただいたアダソン夫妻様、そして夏美サーベラス様に、心より御礼申し上げます。

本日ここに開業いたしましたサイバーサイジング社パビリオンは、これまでのキッザニアの中でも新しい挑戦となる施設です。

子どもたちが体験するのは、単なる作業ではありません。

チームの中で役割を持ち、判断を行い、その結果に責任を持つという、一連の流れそのものです。

現実の仕事により近い形で、社会の仕組みを理解できるよう設計されています。

そのため、これまで以上に考える時間があり、迷う場面もあり、そして仲間と協力することが求められます。

しかし、それこそが今回のパビリオンの価値であると考えております。

本日より、この場所で体験するすべての子どもたちが、それぞれの形で“仕事とは何か”“社会とは何か”を感じ取っていただければ幸いです。

また、本日は開業初日ということもあり、運営上至らない点もあるかと存じますが、安全を最優先に、万全の体制で運営してまいります。

どうぞ最後までキッザニア東京での時間をお楽しみください。」


一礼。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ