二節ノヨン
草月目線!
草月が姉、優香の事をどう思って居るのか…
みたいな話ですかね?
天にいますわれらの父よ、
御名が崇められます様に。
御國が来ます様に。
御心が天に行われれるとおり、
地にも行われます様に。
私たちの日ごとの食物を、
今日もお与えください。
私たちに負債の在る者を許しした様に、
私たちの負債もおゆるしください。
私たちを試みに合わせないで、
悪しき者からお救いください。
五十嵐さんの家、
誰も居無い部屋でオレはねえちゃんのために祈っていた。
「チク…ショウ!」
ねえちゃんを攫われた、
それはもう明確な事実としてオレの心を追い詰めていた。
ねえちゃんが居なく成って三日間、
オレや阿久津さんや五十嵐さんは街中を探して居た、
阿久津さんが調べた所、少なくともこの街の中に居るって事がわかったからだ。
「クソッ!」
オレは壁に拳をうち当てた、
鈍い痛みが走る、
壁も心なしかへこんでしまって居る。
「最低だ…最低だよ、オレって」
オレは痛みの残る壁を殴った握っていた右手を開いた、
この手は、あの時、家が燃えた日にねえちゃんと握り合って居た手だった。
あの時、ねえちゃんは何を思ってオレのワガママをうけいれてくれたんだろう。
オレとねえちゃんは同い年の16歳だった、
それでも…それでもねえちゃんはオレよりもずっと大人だった。
14歳…母さんが死んだ時からねえちゃんはオレの保護者だった、
いや…もっと前から、ずっとオレはねえちゃんに頼って居た。
飯も、朝起きるのも、勉強も、
ねえちゃんに頼り切っていた。
そして、母さんが交通事故で死んでしまった日に、
オレは決めた。絶対にオレはもう大事なヒトを失わせない。
ねえちゃんはオレが守る…って、
なのに!
不意に床に水の粒が落ちた、
涙だった、
オレがねえちゃんを守れなかった、そわな悔し涙が落ちたんだった。
☆
「おとこのこなんだから、ないちゃダメ!おねぇちゃんがついてるでしょ?」
いつ頃の記憶だっけ…
確か、近所の犬に追いかけられて、それをねえちゃんに助けて貰った後だった様な気がする…
もしかしたら小学校に上がる前だったかもしれない、
ねえちゃんの言葉も耳に入らないで泣きじゃくってたけな…
もう、覚えてないけど多分、ねえちゃん困ってたんだろうな…
確か、その時は手、繋いでた気がする、
右手がふさがってんだっけな…
で、そん時にねえちゃんが不意に祈り出したんだっけ…
「天にいますわれらの父よ、
御名が崇められます様に。
御國が来ます様に。
御心が天に行われれるとおり、
地にも行われます様に。
私たちの日ごとの食物を、
今日もお与えください。
私たちに負債の在る者を許しした様に、
私たちの負債もおゆるしください。
私たちを試みに合わせないで、
悪しき者からお救いください。」
最初はなんの事かわかんなくってねえちゃんの事を見てたんだよな、
その時でもオレの方が背がちょっと高かったんだよな。
「ほら、そうげつも言ってみてくださいよ」
多分、もうそん時にはおれ泣き止んでたんだっけ?
で、ねえちゃんの言うとおりやろうと思ってもできなかったんだよな。
「てんにいますわれらのちちよ…えと?」
自分よりも若干、本のちょっとだけ背の低いねえちゃんの顔を見ながらちょっとずつ言っていた。
一人で全部言える様に成ったのって結構つい最近なんだよな、
…ねえちゃんとは、全然話せなく成ってた、
そんな時に…
オレは右腕にして居るブレスレットを見た、
去年の誕生日にねえちゃんがくれたプレゼントだった。
他の人たちからも貰って居るけれど。これが一番嬉しかったと思う。
ーー「草月…確か、今日が誕生日でしたよね…?」ーー
あれは、去年の、オレの誕生日の前日の朝だった、
確か野球の結果だけをニュースで見ている時だった。
突然ねえちゃんがオレの部屋に来て、
梱包された箱だけを置いて直ぐに引き返して行ったんだっけ、
まるで、オレの顔も見たくないって感じに…
それでも、その時はオレは気にして居なかった、
寧ろ、ねえちゃんがオレの誕生日のプレゼントをくれるだなんて思っても居なかった。
そして、もう誕生日を正確には覚えてくれて居ないって言う寂しさを感じて居た。
ありがとうも言わせてくれなかったけ…
しかもあれから訂正もしてないし、
今でも間違ったまんま覚えてんのかな…?
ねえちゃんが笑顔を見せてくれない様になって何年経ったんだけっけ…
確か、二人だけに成った時に不意に見せてくれる笑顔が有った。
小さい時に見せてくれた様な素直に大きく笑う笑顔じゃ無くて、
自分でもふとした時に漏らしてしまう…そんな静かな笑みだった。
それも、二年前…
母さんが死んでしまった時から、見せてくれなく成ってしまった。
あの時からずっとねえちゃんは無表情だった、
阿久津さんが家に来た時にお土産をねだるねえちゃんも、
お化け屋敷でオレに強がりながらもたまに抱きしめて来た意地っ張りなねえちゃんももう居ない…
だけど…だけど、オレはそんな事知らない…!
絶対に取り戻して見せる!
「草月君!大変だ!五十嵐が!」
阿久津さん?
☆
阿久津さんが教えてくれた事はショックな事だった、
なんと五十嵐さんがいつか現れた『ダヴィデ』を名乗る男に重傷を与えられたらしい。
今は救急病院に搬送されたらしい、
そして、そこで手術を受けていた。
「やはり、優香さんは『ダヴィデ』の元に居るらしい」
⁈ねえちゃんが?
「奴らのアジトはわからないが、少なくともこの街の中に有るのだと思われる」
!じゃあそれだけ聞ければ…!
「ダメだ、草月君!まだ能力の発現して居ない君が行っても!五十嵐までやられたんだ!」
「だからって…ここで指を咥えて見てろって言うんですか!オレのたった一人のねえちゃんなんだ!」
オレは阿久津さんがつかんできた腕を振りほどこうともがいた、
こうしてる間にもねえちゃんが…!
そう思った時…
「五十嵐はどこだ⁈」
聞いたことの有る女の声が病棟に響いた。
「お、おまえ…」
そいつは、ねえちゃんが攫われた時に、
オレと五十嵐さんを襲った、
女剣士だった。
質問とかありましたら何時でも(大丈夫かな?)受け付けております(`_´)ゞ




