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一節ノヨン

英雄さん達の色んなイライラさせる所が表面に出てきます(^з^)

新キャラが出て来て五十嵐さんの能力も明らかに!


結局、五十嵐の運転する車に乗せられ、五十嵐の家に着いたのは午前二時をまわった辺りだった。


特段元々の家から遠いわけでは無いが、ここから学校へ通うのは骨が折れそうだ。


場合によっては学校を諦める必要が在るかもしれない、

正直あんな学校には興味も愛着も無いのでとっととやめて、

今の仕事に専念したいのもあるのだが、

あのチチオヤ『勇者』が高校中退だったため、

同じように見られるのは嫌なため通って居たに過ぎない。


「五十嵐さんってめちゃくちゃデカイ家に住んでたんだ…」


私の横で草月が純粋に驚いている、

確かに五十嵐の家は大きな純和風の武家屋敷だった。


割と有名だったため、私からすれば特段驚く事でも無い、

寧ろ、英雄が小さな家に住むほうがどうかしている。


しかし、と

私は思う。


「五十嵐さん、我々の学校はどうするおつもりですか?流石に自転車では行け無いでしょうし、定期などは買って居ませんが?」


学校の話だ、

さっきは確かにどうでも良いと言ったし今でも思っている、

誰も勇者信者の社会教師が居る学校には戻りたくない。


だが草月の事が在る、

草月にだって色々と都合は在るだろう、

草月は私と違って友人も多いから幾らなんでも辞めろとは言えない。


その旨を私は五十嵐に聞いたのだ、

しかし、帰って来た答えは予想の遥か斜め上に向いていた。


「あ、学校か?安心しろ!もう退学届けは出して置いたからな、これで草月も鍛錬にシューチューできるだろ?」


…は?


「え、ちょっと待って下さい…一体どう言う事ですか?退学って、私達何にも聞いて居ませんよね⁈それ!」


もう後半は自分を抑える事が出来ずに夜中だと言うのに声を荒げ叫んで居た。

草月も突然言われた事が出来ないのかポカンとして居る。


だというのに五十嵐は私を鬱陶しそうに見て、耳に指を突っ込んで居た、

…何だその目は…?


「ったく、夜中にデカイ声出すなよな、だからよ、もう一回言うけどお前らには学校を辞めて貰った」


何故二度も言わねば成らぬ、

と言う態度を全面に押し出しながら五十嵐は私を見てくる。


睨む…と言うには弱いが、

ただ見る…とするには些か眼光がきつすぎである。


だが、私にはそんな事は関係がない、

そもそもそんな事を聞いて居るわけでは無い。


「私が聞いて居るのは何故学校が辞めされられたかの理由です、せめて納得できる言い訳をして下さい」


此方にも立場がある、

よくみれば草月も五十嵐の事を疑問的に見ている。


五十嵐はその草月の目線に気がついて肩を落とす、

つまり私に言われただけでは話すつもりは無かったと言う事だろう。


連中、『英雄』の行動基準の全ては草月を通してみるチチオヤ『勇者』の幻想なのだ…

決して草月の意見を汲んだ訳ではない。


「伊万里も高校中退だろ?それに草月の鍛錬の為だ、伊万里が高校を中退したのも鍛錬の為だったしな…」


其処で遠い目をする五十嵐、

そう…所詮そんな事だろうと思った…

つまりこいつらはどう有っても草月をチチオヤの様に、いや、チチオヤそのものに改造したい様だ。


だから…

だから勇者信者共は嫌いなのだ…

こいつらは決して草月自身を見ようとしない、

其処にチチオヤの姿を重ねて見るのだ…


そう…だから、この話、わざわざ私が乗る事も無い、

そもそも私が此処に居ると言う事自体大いなる過ちなのだろう。


「失礼ですが…」

この話、断らさせてもらいます…

と続けたかったところ、

それを草月に遮られた。


「え⁈父さんも…ですか?」


その目には…

草月の目には夢と闘志が輝いて居た…

それを見て何かを思い出した様にする五十嵐…

どうせ、あのチチオヤと草月の事を重ね合わせて居るのだろう…


ウザい…


「ん?何だ、優香?」


その後目覚めたのか、私の言葉に返事をする五十嵐、

恐らく草月の方は手遅れだ、

もう必ず此処で鍛錬を組むと言い出す事だろう…


ならば、せめて、

おとうとが全うに生きる事のできる証拠が欲しい。


「何故…草月が鍛える必要があるのですか?現代社会に生きる事において必要なのは力強さでは無いでしょう?それなのに草月を鍛える、その必要性を聞かせて下さい」


勿論、納得の行く答えを、

さも無くば私は此処を出よう、

神父様の教会は居住するには十分なスペースが裏にある。


其処で住む事にしよう。

大嫌いな草月を此処に残して。


「…阿久津の奴から何も聞いていないか?」


顔を険しくする五十嵐、

何故此処で奴が出てくる、


「そ、そう言えば阿久津さん今日は話しが在るから速く帰って来てくれ…って…」


私の代わりに草月が答える、

その事と関係があるのだろうか?

だが所詮は自分達の事だけを正義と見ている英雄共の事だ、

どうせろくな事が無い。


「『魔王』は…完全に死んだ訳では無いんだ、封印、と言うかな、それを反勇者派が復活させようとして居る…その最悪の時に備えて…」


此処まで聞いて私の頭は再び怒りで真っ赤に成り、物事が考えられなく成った。


貴様らは…貴様らはどこまで草月(おとうと)をオモチャにすれば気が済む…?

何故、草月がそんな化け物と戦う事が前提で話しが進められて居る?

一体それの何処に草月の、引いては姉の私の意見が在る?


こいつらはやはり愚かだ、

草月をチチオヤと同じ、勇者にしたてあげようとして居る…

草月をチチオヤと同じ道を歩ませようとして居る…


させない…

そんな事、絶対にさせない…

ただでさえ貴様ら英雄な周りの連中の仕業で歪んでしまった草月を…これ以上は勝手にさせない…

貴様らのエゴによって築かれた『勇者』と言う幻影、それによって縛られた草月と私の未来…

私が…その(しがらみ)を…

破壊してやる…!



夜が明けた…

神の御言葉に在る通り再び日が昇った…

大体今は朝の六時程だろうか…?

あれから直ぐに寝たは良いが結局はよく眠れず、睡眠時間は二時間程しか無かった。


「(神様…私は、どうしたら良いのでしょう…?私は、愚かにも…

英雄共に殺意を覚えております…どうすれば…)」


布団から起きあがり、

神様に心中の吐露を行った後、

まだ起きぬ男二人の為の食事を作ろうと台所に立った時、

私の目が捉えたのは食器と鍋の油汚れに包まれたバベルの塔だった。


「ひ、酷い…」


台所が不衛生な男は心もだらしないと言うが、

こればかりは目も当てられない程の汚れだった。


英雄がこんな生活をして居ると知ったら信者どもはどう反応する事だろう?

良識ある物は失望するかもしれないが大半の物はそれでも英雄だと言うかもしれない。


だがやはりこの惨状は酷い、

台所の前の壁にカップラーメンの山が出来て居たから嫌な予感はして居たが…


恐らく数週間、

最悪一ヶ月は使っていないどころか足すら踏み入れて居ないだろう。


食器によっては捨てるしか無い物まである始末だ、

…はぁ、

どうせ学校は無いのだ、今日一日はこのこれからの私の砦を掃除させてもらうとしよう。


その前に朝食を作ろう、

と言ってもやはり台所はこの有様なのでそうどうも出来ない。


もしかしたら五十嵐は朝食を食べてすら居無いのかもしれ無い、

どうせ奴の事だ、朝から晩まで鍛錬に明け暮れて居るのだろう、出なければあんな体にはなるまい。


いや、奴の能力『ゴリアテ』の事を考えれば当然か…

筋肉ダルマめ。


奴の体格を考えれば朝でも大量に食うだろう、賞味期限がギリギリの食パンを見つけたからこれでも突っ込ませれば良い、

五十嵐に食の美しさが理解出来ようはずがない。


草月も食パンで良いだろう、

せめてバターは塗ってやるか、

私はコンビニでオニギリでも買ってくるか…



私がコンビニオニギリの朝食を済ましたのが七時程だった、

それでも男二人が起きてくる気配は無い、

五十嵐は知ら無いが草月は何時もを考えるならばもう起きて来ても良い時間だ、

寧ろ遅い。


仕方がないから先ずは五十嵐から起こしに行った、

奴の部屋は十分に広く恐ろしく汚れて居た、

よく生活ができる物なのだと感心すら覚える。


こんな部屋でゴキブリの様に這って居る奴に私の人生は狂わされたのだ、

そして今も十分に狂わされて居る、

連中の目にあるのは私でもなければ草月ですら無い、

草月を通してみるチチオヤなのだろう。


奴らには私達の事などどうでも良いのだ。


私は足元に気をつけながら五十嵐の眠っている布団までやって来た、

今、私の前には私が殺したい程憎い奴が無防備に成って居る。


イケナイ…

神がモーセに御与えに成った十戒の一つには人を殺しては成ら無いと在る。


私は殺意を飲み込み、

五十嵐の体を揺り動かした、

もう少し苦労するかと思ったが幸いにもすんなり起きてくれた。


次は草月を起こしたのだがこちらもそう時間はかからなかった、

だがこいつらは朝っぱらから今日の鍛錬の話などして居る物だから私は聖書を持ち台所掃除の名目で逃げ込んだ。


五十嵐のやらなくても良い、と言う声が背中にぶつかったが無視をすることにした。


やはり酷い有様だ、

昼飯までにゴミと使う物を選別出来るかギリギリのラインだろう。


だがやらなくては先に進むことも無いのだ、

今日は教会へは行けそうにない、

だからせめて聖書だけは近くにおいておこう。



お昼、

漸くゴミなどとの分別が出来た、

中には勇者(チチオヤ)義母(ハハオヤ)の結婚の時に渡された皿だろうか?

そのだった一枚の皿だけが一枚だけ棚に入って居たのだが…


その幸せそうに微笑いながら映る二人の姿を見て、

思わず砕いてしまった。


バラバラに砕け散るチチオヤの破片…

その姿に酷い愉悦を感じる、

白い花嫁衣装のハハオヤも砕きに砕いた。


あとに残ったのは原型を留めぬ粉と破片、

砕いて居た時に大きな音が出て居たと思うが連中は鍛錬などをして居る為に気がついて居ないのだろう。


ゴミ袋に破片を入れ、

後は掃除機で吸った。


その時ステンレスの台に映った私の顔はずっと冷たかった、

ヒトはこんな表情ができる物なのだ。


その時、

庭の…草月達が鍛錬して居る方で爆音が上がった、

その事は対して重要視せず、

私は今度は雑巾で台を吹き始めた。


大方五十嵐の奴が『ゴリアテ』を発動したのだろう、

奴の能力『ゴリアテ』はその名の通り肉体が膨れ上がり、

巨体と成ったその剛腕で莫大なる破壊力を生み出して相手を叩き潰す…という、

頭の悪そうな五十嵐にピッタリの能力だ。


庭なんかでやら無いで居て欲しい、

土が飛んだりするのだ。


だが、

私の懸念は全くの別方向へ傾く事になる。


「君が…『勇者』の娘、宮野 優香か?随分家庭的なんだね」


其処に居たのは五十嵐や阿久津と変わらないぐらいの三十代後半の男、

ニッと歪められたはこいつが反勇者派である事を十分に教えてくれた。


「はい…始めまして、私が宮野 優香です…ですが…あの男の娘などとは二度と言わ無いでいただけますか?」


私は聖書を握りしめて来訪者をみる、

虚を突かれた様な顔をしている、

どうやら私がアンチ勇者である事は知ら無いらしい。


「へぇ…君、変わって居るね…お父さんの事、好きじゃ無いの?」


「口が裂けても…私は神に使える身ですが、あの男だけは許せません…」


静かなる憎悪、

私は聖書を再び胸にだく、

どうやら男は漸く私の持つ聖書に気づき、いよいよ目を丸くする。


「き、君キリシタンなのかい?随分とイメージが違うな、これなら仕事は速くすみそうかな?」


仕事…か、

恐らく私を攫いにきた、

そんなところか…


「わかりました、此方は特に準備する物など無いので…出来れば聖書は持って行ってもよろしいですか?」


「君、心でも読んだ?おかしいな、『念力』のはずだよね?まあま良いや、じゃ、ついてきてね」


そうして私は歩み出した、

その男と共に…



神は言われた、『父と母を敬え』また『父または母を罵る物は必ず死に定められる』と。


マタイによる福音書

第十五章ー四節




反勇者派、また暇そうなキャラが出て来ましたね、

そして何時も?と最後が違いましたねー


阿久津さんいつ再登場させようかな?

あと神父様も。

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