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十節ノゴ

優香に何が有ったのだろう?


響く声、

部屋を埋め尽くす轟音の中をそれは引き裂いた。


そこにいたのはイズル、

最も愛したヒト。


その面影の中に私は父親を見て居た、

その事にゾッとするしか無かった。


だけれど今は違う、

断言してそれは言える。


私は……イズルを愛している。



ゆっくりとイズルが歩を進める、

確かな足取りはイズルが今生きている事を確信づかせた。


水の様に、

猛烈な睡魔が私を襲った。


怒涛の様に流れくる、寒さにも似たこの感覚。

窓の外に見えるポッと灯る街灯の光が最後の記憶だった。



「……眠ったか?」


イズルは呟いた、

瞼を閉じた私を見下ろしている事が分かる。


イズルの顔は恵み眠っている私にはわからないけれど、

その声からはどこと無く安堵が感じられた。


再びの足音、

それが誰の発した物かは分からなかったけれど、直感でイズルだと気づく。


何故イズルはここに?


今更ながらの質問が私の心にふと生まれる、

イズルはあの時に死んだ……。


それが私と草月の共通認識だ、

草月の能力『聖櫃』によってイズルは確かに焼き尽くされた、


そう思っていた。


「父さん……、優香は傷つけない、って言ったよな?」


若干声のトーンが低くなるイズル、

そこから感じられるのは、怒り。


何よりも堪え難いほどの、

圧倒的な憤怒の感情。


「だから、どうした?」


ことなげも答えるのは叔父、

息子の怒りなどおそらく、

わがまま程度にしか感じていないのだろうと思った。


神様の失われた分身、

能力の覚醒。


第二次成長期に見られる心の変動、それによって起こる事が能力の覚醒。


心の振れ幅が大きければ大きい程の能力、

そして、能力の覚醒は大人にちかずいている明かし。


心、

自分自身が反抗期を迎え、

親、

包み込む存在からの脱却の時期に入る事によって。


こことしての尊厳を得て、

開放と調和をもってして生じる物が能力。


そのためにヒトは本来、ただ一つの能力しか持たない、

しかし、中には私やイズルの様に二つ以上の能力を持つ物もいる。


それは何故か、

単純な事を言うならば己の抱える、コンプレックスの多さが原因駄と言われている。


私もイズルも、

そう、ひとえに他人に対する劣等感を抱いているためだった。


そのために、自己の喪失感を補完するために能力の発現と共に生まれた事が重複能力。



そういうわけだから、神に従いなさい。そして、悪魔に立ちむかいなさい。そうすれば、彼はあなたがたから逃げ去るであろう。

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