七節ノニ
大井川が私に語った義母と勇者の話は良く聞いた事のある、
おとぎ話と変わらない内容だった。
そう、
そこに、ママは登場しなかった、
ハハオヤは転校生ではなくて幼馴染だった。
ハハオヤとチチオヤは一度も教会には言って居なくて、結婚は盛大なパーティーなだけだった。
そんなはずが無い事は誰でもわかってる、
特に、あの時に生きて居た連中はみんな。
誰もが勇者に求婚を、
恋愛感情を求めた、
そして、多くが勇者と言う存在を利用したり、
利用出来なかったから消そうとした、
大人達の勝手な言い分で、多くのヒトの人生はねじれ曲がった。
桐野さんも……
「これで満足したか?優香」
満足?
する訳がない。
私が知りたいのはそんな聞き飽きた誰もが幸せになる作られたおとぎ話じゃない。
ただ……
真実。
ママの真実、チチオヤの真実、勇者の真実、ハハオヤの真実、
草月の真実、神父サマの真実、
英雄の真実、
そして……私の真実。
だけど、
今は何も言えない、
まだ、何も言うべき時じゃないから……
ママも、チチオヤも……
全部、
私には知らない事が多すぎる、
そして、英雄達は隠して居る事が多すぎる。
そして……
神父様、あなたは、一体何を考えて居るんですか……?
☆
あれから数時間もしないうちに五十嵐と草月が帰って来た、
河原の辺りでいつもの様に鍛錬をして居たのだろう。
お風呂を用意しておいて良かった、
そんな汗ぐだくだの状態で食卓に入らないでもらいたい。
いや……
本当は、英雄と、草月と一緒にごはんを食べたくない。
一人が好きな訳じゃない、
むしろ一人なだけはとても嫌い。
でも、
英雄や草月はと一緒に居ると、
私がだんだん変に成って行くから。
「あれ?優香、阿久津達は?」
風呂から上がったのだろう五十嵐が頭を吹きながら台所に入って来た。
邪魔だ……
今まで家主のくせに台所を放置して居た奴が今更入って来て欲しくない。
「阿久津さんと円城寺さんは今夜は大学の方で泊まるそうです……先程電話がありました」
夕食を作り終わった後に、
だからいつもの帰らない日には六時前には連絡を居れて欲しいと言ってあるのに……
それでも、
大学で教授をして居る円城寺が向こうに泊まるなんて別に全く珍しい訳じゃないし、
むしろそれが当たり前なんだけど。
阿久津はどうして……?
あいつはあの大学には全く関係が無かったはずだ。
しかし、
五十嵐はなんの疑問も抱かなかったのか、「フーン」と生返事をしながらミネラルウォーターを飲んで居た。
はぁ……
まぁ、一昨日みたいにごはん前にお菓子を食べられるよりかは全然ましか。
でも、
何故まったく疑問に思わない?
心配することはないだろうけれど少しぐらいは何故かと考えるはずだろう。
それなのに……
それが、当然のことだから?
だとしたら阿久津は大学で何をやって居る?
円城寺などは普段、どんな研究をして居るっていうんだ?
「お、姉ちゃん、今日は肉じゃがなのか⁈」
また、風呂から上がった草月が上半身に何も来ないままで台所に近づいて来た。
(五十嵐の家は三つの浴場がある)
攻めて服を来て髪を乾かして欲しい。
そう思って居たら、
冷蔵庫にミネラルウォーターのペットボトルを入れ直して居た五十嵐がポツリとつぶやいた。
「肉じゃがか、確か伊万里の奴の大好物でも在ったな」
知って居るよ……
お前たち英雄は肉じゃがが出る度にそうやって言って居る。
だからチチオヤに心酔して居る草月まで肉じゃがが大好物に成って居るのだ……
私も、作るのが決して難しくないこの料理のことは決して嫌いじゃないけど……
どうしても、
素直になれない自分がもどかしかった。
次話は五十嵐さんの独白の様な物にしようかな?~(・・?))




