第27話。さっぱり分からん。
「よーぅ! あン時は悪かったなぁ!」
そんなのんきな声に聞き慣れて――そして、うれしく思ってしまう自分が悲しい。
振り返れば、岩の隙間からルナウが片手を上げながら入ってきた。……うん、なんでこんなヤツでもうれしくなってしまうのか。
(しょうがないよな……)
ここで目覚めてからもう何日経ったのかは分からない。そんな中で会話ができたのは、こいつとバーロンだけだ。ホッとしても仕方ない。コイツらがいなければ今頃どうなっていたのか分からないんだから。
「……大丈夫なのかよ?」
「おー! 平気平気、いつものことだから。
でもありがとな!」
カラカラと笑う姿におもわず笑ってしまう。
……でもちょっと待て。
「……いつものこと?」
「おう。いつものこと」
「いやいや、おかしいだろ?
いつも岩や石降ってくんの、お前?」
それは理不尽すぎないか? あんなポンポン岩や石が落ちてきたら命がいくつあっても足りないだろう。
おもわずルナウに詰め寄れば、ルナウが笑いながら手を振った。
「なんかオレ思ったことすぐ言っちゃうタチでさ。
いつも怒られんだよなー、昔っから」
「……昔っていつ?」
「ん? 里にいた頃から?」
里? ……ここじゃないってことは
「自分の村?」
「村っつーか、里っつーか……。まぁずっといたトコだな!
よく親や友達からも怒られてたんだよ」
「……直さないの?」
「? 直せンだったらもう直ってンだろ?」
……ごもっともで。
それでも。
「でも岩や石はヤバいだろ? 当たり所が悪かったら死んじゃうじゃん」
「あー、でもそこら辺はしょーがないかも。
当たり所も、一応は加減してくれてんだぜ? やさしいよなー」
……やさしさとはなにか。
「……なんで?」
「落とし所とかはちゃんと選んでくれてて、たんこぶ程度で済んでるんだぜ? まぁこの前のはちょっとデカくて気絶しちまったけどさー」
アハハと笑うルナウの姿に、眉間が寄るのを感じる。
「だからって岩とか石とか……」
「だってしょうがねぇじゃん。メトラはダンジョンコアだし」
「そう、それだよ!」
ルナウの口から出た言葉に、ビシリと指を突き付けた。
ルナウが俺の指先を見て「お、おう……?」とか言いながら目を寄せている。
「ダンジョンコアってなんだよ! どういうこと?!」
「あー……」
ルナウが口を開け、うめいた。頭をポリポリとかいてこちらをチラリと見……ため息を吐く。
「……それは言えねぇ。言っていいって言われてねぇし、オレもよく分かんねぇ。
ただメトラはメトラだし、ダンジョンコアだ。それだけは言っていい……っつーか、言っちまったからしょうがないって言われた……」
「誰に?」
「メトラとバーロンさん」
「いつ言えんの? それともずっと教えてもらえねぇの?」
「……覚悟が決まったら、って言ってた。メトラの」
「『メトラ』の?」
……なんだ、そりゃ?




