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ダンジョンコアに懐かれた結果、外に出られなくなりました  作者: 末野愛


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第28話。『覚悟』とは?

「メトラの覚悟ってなんなんだよ?」


 そもそも『ダンジョンコアの覚悟』ってなんだ。おかしすぎるだろう。

 自分でも眉間に皺が寄ったのが分かる。

 でも目の前のルナウは、ため息を吐きながら首を振った。


「万物に魂は宿る」

「お……おおぅ?」


 ルナウから出てくるとはとても思えない言葉に、おもわず身を引いた。


「オレやお前に心があるように、メトラにだってあるんだよ。

 そういうことだ」

「……聞いたこと、ないんだけど」


『ダンジョンコア』ってのも初めて聞いたし、それに『心がある』だなんて初めて聞いた。

 驚いて呟けば、ルナウがこっちを見てうん、と頷いた。


「オレも聞いたことない」

「……は?」


 なに言ってんだ、コイツ。

 イラッとすると、足元が揺らいだ気がした。足元を見るがなにも変わりがない。

 首を傾げつつも顔を上げると、ルナウの顔色が少し悪くなっていた。


「……大丈夫か? なんか顔色悪いけど……」

「だ、大丈夫。大丈夫だ、うん!」


 動きがあやしいけど、コイツがおかしいのは初めて会った時からだしまぁいいか。


「…………まぁ」


 ルナウの口から出た呟きに首を傾げる。


「メトラはちょっと変わってる。それだけはたしかだ。

 ダンジョンコアが表に出てくることもないし、『心がある』だなんて話、オレだって聞いたことなかった。でもあるし、メトラはそうだ。それは間違いないんだ」

「そうか……」


 ふーん、としか言いようがないけど、まぁそうか。とりあえず変わったダンジョンだということは、ここ最近? 嫌になるほど実感している。なんだ、突然出てくる水とか床から上がってくるメシとかって。風呂が毎回できるとかそんな贅沢でおかしな話、『変わった』なんかで言い表せるわけがない。


「その『覚悟』ってのはいつできるもんなの?」

「……お前、今からウィンドブレイクの広場で歌ってこいって言われてすぐできる?」

「はぁ? できるわけないだろ」

「……ここ出るのにそれできたら出れるってなったら?」

「……鼻歌でいい?」

「ダメ」


 ……どうだろう、できるか? ってかその段階でもうここ出てるんじゃ……


「ほら、悩むだろ。それと一緒だよ。そんな簡単にできるもんじゃねぇって」


 いや、それはきっとお前の例えが悪いからで……。

 なんとも微妙な気持ちになったが、ルナウが「んじゃそろそろ戻るわ」と声を上げたことで我に返った。


「……戻んのか」

「おう。……なんだよ、さびしいんか?」

「……別に」


 一人はさびしい――だが認めるのも悔しいし、そう言ったからってコイツとずっと一緒なのは……ちょっとうっとうしいかもしれない。

 少し悩んだ俺にルナウがにやりと笑った後、「あ、そうだ」と声を上げた。


「バーロンさんから伝言だ。

 魔力の流れを意識しろって言ってた」

「? 魔力の流れってなんだよ。俺魔法使えねぇぞ?」

「? 魔力は誰にだってあるだろ?」

「あんの?」

「ねぇの?」


 …………ダメだコイツとじゃ。


「魔力は生きてるもんすべてにあるって聞いてるぜ?

 それを意識しろってことじゃねぇの?」

「そうなのか?」

「そうじゃね? ま、今度バーロンさんに聞いてみろよ」

「……分かった」


 頷くと、ルナウが満足そうに頷き「じゃあな」とできた裂け目に向かって歩いていく。

「おう」と答えつつ見守っていたが……裂け目から出て行ったことになんか残念な気分になった。

 それから座って『魔力の流れ』を感じ取ろうとして――……気付いたら寝てた。

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