↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンコアに懐かれた結果、外に出られなくなりました  作者: 末野愛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/28

第24話。俺のため? 誰のため?

「も……むり……」


 剣が手から落ちた。

 拾おうにも、体を曲げた途端に一緒に倒れ込む自信がある。というか、もう立ってさえいられない。

 膝から力が抜けて座り込む。そのまま前に手をついて、はぁはぁと息を吐いた。まるで全力で走った時のように息が整わない。


「くるし……」

「あぁー、もぅ。しょぅがなぃなぁ……」


『レヴィア』と聞こえた途端、体が少し楽になった。……だが楽になっただけだ。まだしんどいし、疲れも残ってる。

 バーロンを見上げれば、肩をすくめられた。


「なんでも魔法に頼っちゃだめだろぅ?

 それより、ちゃんと息しなよ?」

「……してる、だろ……」

「そうじゃぁない。

 剣を振る時に息をしろって言ってるんだよぅ。大事だよぅ、呼吸?」


 言われた言葉に、ぐぅと息を飲み込む。たしかに力むと息が止まっていたような気がする。


「あくまで自然体に。息を止めて力んだところで、なんにもならないよぅ?

 素振りの時から気を付けなぁ」

「…………わかった」

「…………素直だなぁ」


 そう言ってバーロンが笑う音がする。

 ……バーロンが嘘を言ってるとは思わない。それに昔、村の大人からも言われたことがある。

 ふぅ、と大きく息を吐くと、「まぁ、こんなもんかなぁ」とバーロンが呟く声が聞こえた。

 再びバーロンを見れば、こちらへと歩み寄ってくる。


「今日のお散歩は終わり、ってことさぁ。

 もうこれ以上続けるような体力ないだろぅ?」

「……モンスターと戦うのは散歩って言わない」

「まぁ、そうだねぇ」


 言い返すと、バーロンがおかしそうにクククと笑った。


「さっきも言ったけど、きみのためさぁ。

 まぁ……メトラのためでもあるんだけど……おっとぉ!」


 そう言ってバーロンが急に横に飛ぶ。

 見ればそこにこぶし大の岩が落ちてきた。……いやいや、ヤバすぎるだろう!


「あぶなぃ、あぶなぃ……」


 そう呟きながらバーロンが戻ってくる。だが口調の割に、その表情は楽しそうだ。

 首を傾げると、笑みを浮かべながらも首を振られた。

 手を差し出されたので、その手を取る。……立ち上がれるぐらいには体力が戻った。

 そのまま前を歩き出すバーロンの背中に声をかける。


「……『メトラのため』って、どういうことだ?」


「んー?」と振り返ったバーロンはなんだか楽しそうだ。ニヤニヤしている。


「きみがくさってたり、元気がなぃと心配だってことさぁ……、ぅおっとぉ?!」


 突然脇から鋭く尖った岩が突き出てくる。

 それをバーロンが紙一重で避けていた。

「あぶなぃなぁ……」と岩を見ながら呟いているが、それをかわせるバーロンがおかしい。それとも……上のランクの人たちは、みんなあんな風にかわせるんだろうか?


「まぁ、今は自分のことだけ考えてればいいさぁ。

 明日からも、コレ続くからねぇ」

「マジか……」


 がっくりとうなだれれば、「まぁしょぅがなぃねぇ……」とバーロンの笑い声を含んだ声が聞こえてくる。


「まぁ今日はメシ食って振り返って。で、風呂入って寝な」


 親か。

 そう思ったが、言い返すほどのことでもない。

 グッと飲み込んで、バーロンの後を追いかけた。……一瞬逃げようかとも思ったけど、まだ無理だと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。