第23話。……俺、なにやってんだろう?
「はい、次」
「……ッ!」
「ギャッ……!」
「……だいぶ慣れてきたなぁ。ほら、次だぁ」
「やぁっ!」
「グギャァ!」
「次」
「くっそ……!」
「ギャアァァァ!!」
「はぃ、もういっちょ」
「ぅらあぁぁぁ!!」
「ギァッ……!」
「ほら、どっこぃ」
「……ッ、せい!」
「ギッ……」
「はい、まだまだぁ」
「…………っっ!!」
目の前では斬り伏せたゴブリンが光の粒となって消えていく。
……なんだろう、だんだん薪割りか小麦をすり潰してるような気がしてきた。
目が慣れてきたのか、ゴブリンの速度が上がっても軽く斬れるようになってきた。
もうコレで……何体目だ? 薪割りのように次々けしかけられるから、もうどれぐらい経ったのかも分からない。
(薪と違って残らないし……)
息が上がる。肩が大きく息に合わせて上下する。でも、剣は離せない。
「……うん。ゴブリン一体ならもぅ大丈夫だろぅ。
じゃあ次は……そうだなぁ、二体にしよう」
「二体?!」
のんきにそう呟いたバーロンにおもわず叫ぶ。
バーロンは眉を大きく上げて――なんでそれで片眼鏡がずれないんだろう……?――、おどけたように肩を上げた。
「当たり前じゃぁないか。
モンスターが、ご丁寧に一体ずつ来てくれるとでも?」
ぐぅの音も出ない。
モンスターが一体で来るなんてあり得ない。そんなモンスターはよっぽど強いヤツに違いない。
ぶるりと体を震わせると、ポンポンと肩が叩かれた。
「……きみのためでもある。
まぁ最初は手伝ってあげるからさぁ」
なぁ? とまたポンポンと叩かれれば頷くしかない。
ガクリと首を落とすと、ククク……と笑い声が聞こえた。
「そのままじゃぁダメだよぅ?
じゃぁ……次だ」
なにがダメなんだろう?
そう思った瞬間、先程よりも広い範囲が盛り上がる。見る間にゴブリンが三体現れた、って、三体?!
「いきなり?!」
「あーらら……」
おもわず悲鳴を上げれば、「ま。だいじょーぶ、だいじょーぶ」とのんきな声が聞こえる。
「……『レンティオ』。
ほら、行っといで」
「クソッ……!」
バーロンに背中を押し出され、足を動かす。
ノロノロとこちらを睨み付けながらもゆっくりと動くゴブリンに向かって、今出せる限界の速度で走った。




