第21話。……魔法だ!
「あーあーぁ……。馬鹿だなぁ、お前は……」
聞こえてきた声に振り向くと、そこにはバーロンが立っていた。
(いつの間に……)
唖然としている間にも、バーロンがルナウの側に寄っていく。
ルナウの傍らに落ちた岩を見、ルナウを見……頭を下げる。
「え……?!」
背中がサーッと冷たくなる。
慌ててルナウに触れるが、その体は温かい。
「おい……!」
体を揺すろうとして、『頭を打った人を揺すってはいけない』と昔聞いたことを思い出す。
どうしていいか分からなくなってオロオロしていると、ボソリと声が聞こえた。
「……生きてるよ」
その声にホッとして息が漏れる。
それから紛らわしいことをしたバーロンを睨み付けた。
「……ただの冗談じゃないか」
「タチ悪ィ」
「……そうかな?」
「当たり前だろ」
「……そうか」
バーロンが少し肩を落とした。
だがその後、バーロンの腕が動きだし……その手がルナウへとかざされる。
「……『クラティオ』」
ルナウの体が光り、みるみるその光が消えていく。
光が収まっても、ルナウはピクリとも動かなかった。
「……起きないけど」
「……気を失ってるみたいだねぇ」
バーロンがルナウに再び手をかざす。
「……『モトゥス』」
次の瞬間、ルナウの体が光り……そして消えた。
目の前には転がった岩しかない。
「……どこ行ったんだ?」
「アイツの部屋だねぇ。今頃寝床の上さぁ」
やれやれといった様子でバーロンが首を回す。
いや、そんなことより……
「……魔法?」
「…………今頃かぃ?」
バーロンが引いたようにこちらを見てくる。いやだって……
「そんなゆっくり、見てる暇とかなかったし……」
「まぁ今も、ゆっくり見てる暇があるもんじゃぁないけどねぇ……」
なにせ人一人倒れてるんだし……、とバーロンが肩をすくめる。
まったくもってその通りだ。……だが気になる。
「俺も……使えるようになったりしないか?」
「……どうだろぅ? きみ次第じゃぁないかぃ?」
「俺に、教えてくれよ」
「……頼み方」
「……ッ!
……俺に、魔法を教えて……くだ、さいっ……!」
キッと睨み付ければ、バーロンが「頼み方……」と言いつつククク……と笑う。
「まぁ、でも。うん。その前に……」
そう言ってバーロンが空間の先を指で差す。
つられてそちらを向けば、盛り上がった『なにか』が見えた。
「先に、あっちだろぉ……?」
まるで湯を沸かしている時の泡のように、みるみる大きくなっていく。
そして――そこには、モンスターが現れた。




