第18話。……暇すぎる。
語尾のおかしい変なおっさんが来てから何日経ったのか。
最初の頃は思い返して首を捻っていたし、あれはいつだったっけ、と振り返ってもいた。だがそんなことをしていても、そのうち忘れてしまう。だが、
「なんで引いた線が5本なんだよ……」
これは絶対おかしい。
前にもおかしいなと思ったことがあったはずだ。それ以来気を付けていたつもりだったが……気付けば5本になっていた。線を引いたのが夢だったとか、そんな絶望したくなるような理由じゃない。……まぁ、今も閉じ込められているという意味では絶望ものだが。
(もう何日経ったのかな……)
水は今も流れ続けている。
メシも何故か毎日3食――いつも同じパンと肉だが――差し入れられている。
毎日風呂もせり上がってくる。いつからか風呂と一緒に服も置かれるようになって、服を脱ぐたび脱いだ服が消えていく。……母さんやマーヤたちが見たらなんて言うんだろうな、と毎回思った。
なにもしなくてもメシにも水にも困らない。金も必要ない。それだけ聞けばいい話かもしれない――だが。
「……なにしてろって言うんだよ……」
暇だった。とにかく、暇だった。
素振りを何回やっても、いつまでもやり続けられるわけもない。なにより飽きる。
出口や隙間を探しても見つからない。一度暇にあかして岩を登ってみたら、何故か出っ張りが変わって岩登りをする羽目になった。最初こそ夢中で登ったが、途中で我に返って止めた。
暇だ。そしてなによりもう長く太陽を見ていない。
最初はこのまま朽ち果ててダンジョンに吸収されるんだろうと怖くなったが、今ではそんな気もしない。飼い殺しだ。
「いつまでこんなのが続くんだよ……」
頭を抱えてため息を吐く。
その時、ゴゴゴゴゴ……と音が響いた。あの音は隙間ができる音だ。――そんな音の違いも分かるようになってしまった自分が悲しい。
「よーッス! 元気か―?」
能天気な声が聞こえて顔を上げる。
そこには耳を立てて尻尾を揺らすルナウがいた。……ご機嫌そうだ。




