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ダンジョンコアに懐かれた結果、外に出られなくなりました  作者: 末野愛


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第11話。えぇ……

 あれから壁に3本線を引いた。その間に良くも悪くも色々あった。

 まず第一に、ルナウが来なくなった。

 あいつは「メトラに頼まれた」と言っていた。来ないということはメトラがアイツに頼まなくなったということだ。だからと言ってメシが出なくなったとかではなく――

 ゴゴゴゴゴ……と聞き慣れてしまった音がする。ゴクリと唾を飲み込めば、少し先の地面が盛り上がっていく。だんだん、だんだんとせり上がっていき……やがて腰ほどの高さになった。机のような感じだ。

 ボコリとなにかが崩れたような音がする。

 そちらに回ってみると、せり上がった土の一部が崩れ、中に盆に載ったパンやコップが見えた。それを取り出し、机代わりの土の上に置く。立ったままもしゃもしゃ食って、


「……ごっそーさん」


 食い終わったらまた元の位置に戻す。

 ゴゴゴゴゴ……とまた音がし、土の台は元の床に戻った。


 ……コレが第二、いや第三か。……いや、違う。いくつだ?


 まずルナウが落とし穴で消えた後。次にメシを持ってきてくれたのは、背中に盆を載せた獣型のモンスター――ルナウのような獣人ではなく、ボアだ――だった。

 ゴゴゴゴゴ……と音が鳴って岩壁に隙間ができた瞬間、ボアが飛び込んできた。


(ついにここまでか……!)


 こんなところじゃ逃げ隠れする場所もない。

 それでも身を守るために剣を構えた、が。……何故か突撃してこなかった。森で出くわした時との違いに首を傾げると、その背中に盆が置かれているのを見てしまった。


「…………」


 なんとも言えない気分になりながらその盆を受け取ると、


「あっ……!」


 そのボアがパンに牙を突き刺し、岩壁に向かって走り去っていこうとした。

 おもわず声を上げた次の瞬間、


「ブヒーッッ!!」


 ボアの叫び声が響いた。岩壁を越えることなく倒れたボアが光となって消え……穴の開いたパンが、そこに残った。……拾って食った。


 次にメシを持ってきてくれたのはスケルトンだった。

 いつもの地鳴りの後、岩壁の隙間から姿を見せたソレに、雷を受けたような衝撃が走った。


(このダンジョン、スケルトンも出るのかよ……!)


 何度かログ・メトラの話を聞いたことはあるが、スケルトンが出るだなんて聞いたことがない。

 現在ログ・メトラは30階層を攻略中だと聞いたことがある。それよりも下層にはスケルトンや、もしかするとゴーストなんかも出るのかもしれない。


(ヤバい……!)


 歯をギリギリと食いしばり、無駄と分かりつつも剣を構えた。スケルトンが隙間から入ってくる。

 その手には――盆があった。

 呆然としながら見ていると、スケルトンが盆を持って近付いてくる。目の前で盆を突き出され、なんとも言えない気分で受け取った。

 地面に座ると、何故かスケルトンも向かい合うように座った。食べている間中、ずっとその状態だった。もちろん、話すことはないし、話しかけられることもない。

 仕方なくそのまま食べていると、スケルトンと目が合った。なんの光もない目がこちらをじっと見ている。


(なんか、吸い込まれそうな……)


 頭がぐらりと揺れ、ハッとする。慌てて下を向き、そのまま食べ続けた。


「…………ごちそうさま」


 そう言いつつ盆を手渡せば、スケルトンは岩壁の向こうに去っていった。その晩、ひどくうなされた。


 次の日以降、土がせり上がってメシが運ばれてくるようになった。


 思い返しても頭が痛くなる。

 だが一番なんとも言えないのはコレだ。


「なんでこうなるんだよ……」


 頭を抱えて屈み込んだ。

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