貴族の招待vs禁断の宣言? 「彼は私たちの婚約者(仮)です!」
お疲れ様です、第一部の節目となる第30話です!
貴族の魔の手からカイを守るため、ヒロインたちがついに禁断のカードを切ります。
「三人同時の婚約者宣言」。
カイの平穏(?)な日常は、ここで大きな転換点を迎えます!
「……しつこいわね。カイくんは、社交界の道具じゃないって言ってるでしょ!」
木曜日の昼下がり。路地裏は、侯爵家から派遣された執事たちと、それを阻むリアナたちによる一触即発の状態にあった。
「多額の金貨を出す」「専用の屋敷を用意する」――執事たちの提示する条件は魅力的だったが、ヒロインたちの怒りに火を注ぐだけだった。
「主を金で買うつもりか? 無礼千万。これ以上は、騎士団への反逆とみなすぞ!」
「……フン。これでは埒があかんな。アイリス、リアナ。もう、隠す必要はあるまい」
セレスティーヌが冷徹な視線で執事たちを見据え、一歩前に出た。
彼女は俺の隣に並ぶと、あろうことか俺の右腕をしっかりと抱きしめたのだ。
「皆に伝えよ。この者は、私……セレスティーヌ・ラ・ラズハザードの婚約者候補だ。……そして、ここにいる二人にとってもな」
――時が止まった。
執事たちは目を見開き、路地裏を覗き込んでいた野次馬たちからは、言葉にならない絶叫が上がった。
「そ、そうよ! カイくんは私たち三人の、その、たい、大切な将来の伴侶なんだから! どこの馬の骨かもわからない貴族なんかに、指一本触れさせないわ!」
「左様だ! 主の『指先』は、将来の妻となる我らだけの特権。……不服がある者は、この私を、そして国を相手にすることになるが……構わんか?」
リアナとアイリスも俺の両側に密着し、逃げ場を完全に塞ぐ。
三人からの熱い体温と、それ以上に熱い「独占宣言」。
嘘か真か。だが、彼女たちの瞳に宿る光は、冗談で済ませられるほど甘いものではなかった。
「な、ななな……王女殿下と騎士団長、さらにギルドの聖女様が、同時に婚約……!? こ、これは国がひっくり返るぞ……っ!」
執事たちは真っ青になり、蜘蛛の子を散らすように馬車へと逃げ帰っていった。
後に残されたのは、静まり返った路地裏と、三人の美女に文字通り「捕獲」された俺だけ。
「……あの、三人とも。嘘ですよね? 追い払うための」
「「「………………」」」
三人は何も答えず、ただ顔を真っ赤にして、俺の腕をさらに強く抱きしめるだけだった。
八百屋の箱から始まった俺のなんでも屋生活。
どうやら、ここから先は「癒やし」だけでは済まされない、さらに熱く、逃げ場のない物語へと突入してしまったらしい。
ついに言ってしまった……!
嘘から出たまことか、それとも最初から狙っていたのか。
三人の愛の暴走は、ついに国をも欺く(?)レベルに達しました。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます!
第一部完結……と言いたいところですが、カイの受難はまだまだ続きます。
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