鉄の女騎士団長、八百屋の箱の上で「筋肉の鎧」を脱がされる
聖女、王女と続き、ついに最強の「女騎士」が登場します。
鉄の鎧を纏った彼女が、カイのマッサージにどう抗うのか……。
ぜひお楽しみください!
三日目。
俺の『なんでも屋』の周囲には、もはや隠しきれないほどの殺気が渦巻いていた。
「……おい、あいつか。あのボロ箱に座ってる男が……」
「聖女リアナ様だけでなく、お忍びの王女様まで骨抜きにしたっていう『魔の指』を持つ男は……っ」
噂は一気に広まっていた。
だが、その殺気を一瞬で凍りつかせるような、鋭い足音が路地に響く。
「……そこをどけ。その者に用があるのは私だ」
現れたのは、銀光りするフルプレートメイルに身を包んだ、国最強の剣士――女騎士団長アイリスだった。
彼女が一歩踏み出すたびに、野次馬の冒険者たちが蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
アイリスは俺の目の前まで来ると、燃えるような赤い瞳で俺を射抜いた。
「主か。……巷で『禁断の術』を操り、淑女を惑わしているという不届き者は」
「……お悩み相談なら100ギルです。不届き者扱いは心外ですね」
俺は動じず、八百屋の箱を指差した。
アイリスは鼻で笑い、腰の長剣をガチャリと鳴らす。
「フン、私は騙されんぞ。……だが、我が騎士団の者たちが口々に主を称えるのが我慢ならなくてな。もし主の術とやらがインチキならば、不敬罪で捕縛させてもらう!」
「いいですよ。……でも、団長さん。その左足、もう限界なんじゃないですか?」
アイリスの眉がピクリと跳ねた。
彼女は隠しているが、過酷な訓練による『慢性的な筋肉痛』と『疲労蓄積』で、歩き方が微かに不自然だった。
「……なぜ、それを」
「見ればわかります。とりあえず座ってください。100ギル分、きっちり仕事しますから」
毒気を抜かれたのか、彼女は「……捕縛の準備だ」と自分に言い聞かせるように呟き、重厚な鎧の音を響かせて八百屋の箱に座った。
「まずは……これを使ってください」
俺が差し出したのは、現代の『高濃度クエン酸ドリンク』を再現した、特製の酸っぱい果実水だ。
「……むっ!? す、酸っぱい……! だが、身体の奥に染み渡るようだ……っ」
「次はマッサージです。鎧の隙間から失礼しますよ」
俺は彼女の太ももからふくらはぎにかけて、現代のスポーツマッサージの技法で、深く、強く圧をかけた。
プロのスポーツ選手が受けるような、痛みと快感の境界線を攻める指使い。
「――っ!? あ、あああああッ!? 待て、そこは……っ! ぎ、ギブアップだ……っ!」
最強の女騎士が、八百屋の箱の上で無様にのけぞった。
鎧がガチャガチャと激しい音を立て、彼女の端正な顔が、見たこともないほど真っ赤に上気する。
「痛い……痛いぞ主……っ! だが、何だこれは……っ。熱い……指が触れた場所から、氷が溶けるように筋肉が……っ!」
「溜まっていた毒素が抜けてる証拠です。我慢してください、一番キツい場所をやりますよ」
俺が膝裏のリンパをグイと押し込むと、アイリスは「ひぎぃっ……!」と短い悲鳴を上げ、そのまま俺の肩にガクンと頭を預けてきた。
鉄の規律を誇る騎士団長が、路地裏で男にすがって震えている。
「……主。……もう、剣が持てぬ。身体が……ふにゃふにゃだ……」
数分後。
鎧の重さを忘れたかのように軽やかな足取りで立ち上がった彼女は、信じられないものを見る目で自分の手を見つめていた。
「……私の負けだ。これほどまでの『癒やし』、今まで知らずにいた自分が恐ろしい。……おい、主」
「……はい?」
「……明日も、私の体を『調整』しに来い。いや……私がここに来る。……これは、決定事項だ!」
彼女は騎士の礼を執るように俺の手を握りしめ、逃げるように去っていった。
――これで、三人。
明日からは、この狭い路地裏で、彼女たちが『箱』の権利を奪い合う、本当の戦いが始まる予感がしていた。
三人のヒロインが揃いました。
ここからさらに物語は加速し、彼女たちが「箱」を取り合う修羅場へと突入します!
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