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【第25回】 宗教との関係

 ※


 倉見の顔に当惑の表情が浮かんでいる。自ら「宗教」という言葉を口にしたものの、「何を、どう話せば……」と思っている時に副管理長のベソイミカが呼ばれたのだ。

 彼女の顔を見た彼が声を発する。

「倉見さんは、何だかの宗教を信じているのかな?」

 その問いに、「いいえ」と彼女は答える。

「入谷君は?」

 ベソイミカは俺へと視線を移し、そう問い掛けた。

「無宗教です」と答えつつ、(この人、軽めの口調で話すな……。しかも、俺達の事を名前で呼ぶ際、『君』や『さん』を付けた!)と思いながら、彼の言葉を待つ。

 彼は微笑みつつ、「助かったよ」と言って、話を始めた。


「もし、君達が何かの宗教を信じており、その上、詳しかったら、『答えられないかも……』と思ったんだけど、大丈夫そうだ……。

 まぁ、はっきり言ってしまえば我々、死直界しちょくかいの管理人は宗教に関して『無知』と言っても構わない。更に付け加えると、魂が集まる真現界しんげんかいの管理人も同様なんだ。

 だからと言って、『死後の世界と宗教とは無関係』と、切り捨てる訳にもいかない事情があるのも事実。僕が話せるのは、その概要程度だけど、それで構わないかな?」


 その言葉に倉見は、「お手数を、お掛けしますが、宜しくお願いします」と、頭を下げつつ声を発し、俺は、「詳しい話をされても、俺自身、理解出来ないと思います」と応じながら、(チクノクサだけではなく、ベソイミカも、俺達の質問に対して、真摯に対応している……。何故だ?)と考えていた。

 ベソイミカの口が言葉を紡ぐ。


「管理長から説明があったと思うけど、元々は真現界と仮現界かげんかいという二つの世界しか、なかったんだ。魂は、この二つの世界で輪廻転生を繰り返す。でも、生物が進化して行く過程で人間だけは、このシステムで上手く対応出来なくなった。

 そこで先ず発生したのが、ここ死直界……、正に『魂の重さ』だけを基準として、機械的に魂を分類する世界……。

 続いて『超現界ちょうげんかい』という世界も発生した。

 管理長が話したか、どうかは知らないけど、この超現界の発生に関して、僕達は何も知らない。しかも、超現界は真現界と接しては、いるものの、死直界とは接点がない為、僕達としては関与するすべすらないんだ。

 その一方、死直界と真現界の管理人は時折、情報交換を行う為、会って話をしている。

 僕達は直接、見た事はないけど、真現界の中には『十の部屋』があり、それぞれ、第一級から第十級にランク分けされているのを知っているのは、真現界の管理人と話した時に得た情報なんだ。でも、その程度の内容しか知らない。まぁ、僕達にしてみれば、真現界は『隣の職場』。必要な情報は共有するけど、それ以上の事を知っていても、余り役に立たないから、詳しく知ろうとも思わない……。

 それでも、真現界の管理人と直接話をする訳だから、僕達が『必要ない』と考えている情報に触れる機会もあるんだ。その中に『超現界』の話題があった。

 それによると、こんな話になる。

 第一級のランクを持った魂……、しかも、『第一級の常連』とも言うべき魂が、真現界にいる部屋の壁に『何かがある』のを見付けたらしい。その〈何か〉は次第に『扉』へと変化して行ったという。そして、その魂は扉を開け〈別の世界〉へと行ってしまう。この世界を我々は『超現界』と呼んでいる訳だが、何故、扉が出来、その先に真現界の管理人達にとって『未知の世界』があったのかは全くの不明。

 ただ、これを契機として、真現界の部屋に本来は存在しない複数の『未知の扉』が出来たという。

 実は、この未知の扉が宗教に関係しているとも言われているんだ」

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