13
ハーレムに入るには門番がいる門を通らないといけない。
その前では、ギュナーとアルベンスが言い争いをしていた。
「おまえ、そこをどけ。余をだれだと思っている!」
「ガキがハーレムなんざ百年早いわ」
これだけ騒げば捕まりそうだが、捨て置くようにと指示が出ているから何もしない。
唯一出ている指示は、ハーレムに入れるな。
口説くくらいなら面白い余興とも出来たが、アルベンスとの間に子どもができるのは好ましくない。
「あっセルライン!」
「ご機嫌麗しく存じます。殿下」
「ギュナーと呼ぶことを許そう」
「セイレン!」
「もったいないお言葉でございます」
「セイレン!」
無視をされたアルベンスはセルラインの腕を掴むと乱暴に引き寄せた。
勢いのまま口づけるとアルベンスはセルラインの腰を撫でた。
「うぐっ」
「何をするのです?」
「そうだそうだ。余だってまだ触ってないのに」
「ギュナー殿下?」
「うぅ」
セルラインに鳩尾を殴られて蹲るアルベンスはそれでも諦めない。
「セイレン、どうしたんだ?ほっといたから拗ねてるのか?」
「拗ねる?どうして私が拗ねるの?」
「だって俺に会えなかったから」
「会えなくても良いわよ。だってお金ないでしょ?どうやって私を買うの?」
お金という言葉に反応したのはギュナーだ。
子どもであっても王族だ。
使える金額は計り知れない。
「金か?金ならあるぞ。金の髪飾りも金の腕輪も。だからセルライン、余に買われろ」
「そうね。お金がない男よりも、ある人の方が魅力的だもの。ギュナー殿下、私を買ってくださいますか?」
「もちろんだ。父上がお前は絶世の美女だと言っていた。男なら一度は手に入れねばならん」
子どもに負けたということで放心状態のアルベンスを手早く捕獲した。
騒がれても煩いだけなので猿轡をして、強制的に気を失わせる。
「簡単にいったね」
「帰るぞ」
「はぁ捕まえるのは簡単だとは思ってたけど、どうやって牢に繋ぐかだよね」
「また釈放されても困るし」
そのことに頭を悩ませていると解決策を示したのはギュナーだった。
「なら闘技場に入れたらいいだろう。あそこは罪人が己の罪を戦うことで償う場所だと父上が言っていた」
「他国の人に捕まえてもらうのには罪状がね」
ハーレムに入ったことは罪だが、それを王が余興として楽しんだため罪にできない。
「ざいじょう?罪のことか?ならセルラインに触れただろう」
「いや、触れただけでは難しいかと、殿下」
「そうなのか?セルラインは叔父上のハーレムの女であろう。他のハーレムの女に手を出すことは死罪だ」
一度、それでギュナーは怒られている。
次にセルラインに手を出せば命はないだろう。
「ハーレムって」
「まぁ闘技場なら三日?」
「えっ即日じゃないの?」
ギュナーの指示によりアルベンスは闘技場に運ばれた。
戦いの心得のないアルベンスがいつ死ぬかを予測したが、意外と死なずに生き延びた。
それは試合観戦をしている婦人たちに“魅力”をかけたことに原因があった。
異国の優男であるアルベンスが戦う姿に心奪われた婦人たちがアルベンスが死なないように根回しをしたからだ。
何人かは奴隷として買い受けようとしたが、それは王が許さなかった。
別の意味でハーレムを築き、闘技場の稼ぎ頭であるアルベンスは、解放されなかった。




