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面白くないとセルラインにちょっかいを出そうとしたが今度は父親である王に止められた。
「ギュナー」
「っ」
「俺は絶世の美女を見せてやるとは言ったが、ものにしていいとは言っていないぞ。それに、その女はワルナーのハーレムの女だ。他のハーレムの女に手を出すことは、王族でも許されることではない」
「・・・はい」
これ以上は王の息子でも許されず、処刑されてしまう。
子どもだったら許されても成人を迎えた今となっては許されない。
「では、皆の者、楽しんでくれ」
集まった参加者はセルラインを見ては口説こうとしてワルナーに睨まれるということを繰り返し、ギュナーは薄めた酒をちびちびと飲んでセルラインを見ないようにした。
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「うん、だいたいのことは分かったけど、それで嫌とか」
「だって、私の体がワルナー様以外に晒されたのよ。穢されたのよ。もうお嫁にいけない」
「いや、もう人妻だし」
セルラインは嫌だと言っているが、もうすでに出発の準備は進められている。
最後の駄々を捏ねているだけだ。
それはセルラインも分かっている。
分かっているが、行きたくないものは行きたくない。
「仕方ないよね。アルベンスが入国しちゃったんだし」
「はぁどうして平民は簡単に入国できるのよ」
「そりゃ他国に旅行できるほど裕福じゃないから手続きとか複雑にしても大変だからじゃない?」
入町税と同じように入国税と名前を申告すれば入れる。
それで犯罪が起きても、その国で対処することになっているから軽微な犯罪でも死罪になることもある。
「でも、あの国までの旅費とか誰が出したの?」
「調べによると、行きずりの女性に少しずつ運んでもらったのですわ」
「さすがね」
女性に言い寄って惚れさせることにかけては天才的だった。
“魅力”の使い方を本当に理解していた。
「仕方ないよね」
「それなら私たちじゃなくて、向こうの軍隊に動いてもらえばいいじゃない」
「向こうの軍隊は男ばっかりでアルベンスが近づいてこないんだから」
こっちから大々的に動けば気づかれて逃げられる可能性があるから、またおびき寄せることにする。
それには大きな問題があった。
ワルナーの国では女性は家にいるもので、既婚ならば夫に、未婚ならば父もしくは兄の庇護下にいるため男を誘うというようなことはしない。
仕方なくアルベンスを知っていて女性が多い第三特務部隊に要請がかかった。
止めはマグドラにしてもらう。
「まぁまぁアルベンスをさっさと捕まえて収容してしまえばいいと思うよ。そしたらその『クソガキ』にも会わずに済むかもしれないし」
「そうね。そうだわ。そうよ」
セルラインをその気にさせて、言質をとった。
頷いてからセルラインは自分が何を言ったのか気づいた。
「マグドラ!?黙ってて言ったでしょ」
「あら?何のことかしら?」
最終的には頷くことになり、仕方なく出発した。
このやりとりで時間をかけている間にアルベンスは入国しており、手を出してはいけない王のハーレムにちょっかいをかけていた。
本当なその時点で打ち首だが、ワルナーの兄、バベナーは面白いことならば、それが犯罪でも見逃すという人物だった。
そのおかげでハーレムに忍び込んで、ばれていないと思っているが、バベナーの手の平の上で踊ることになっている。
そのことを知らないセルラインたちは向かいながらも、行きたくないというセルラインの駄々のせいで余計に時間がかかっていた。
セルラインたちが到着したころには、王のハーレムの半分の女性はアルベンスの虜になっていた。
「兄上、もう一度説明してもらえますか?」
「だから、ある男のせいでハーレムの女がハーレムを抜けたいと言ってきた。それは王として恥ずべきことなのでな。どうにかしろ」
「兄上がアルベンスを放置していたからでしょう」
「まさか、俺のハーレムに侵入する馬鹿がいるとは思わんだろう」
もっともらしく言っているが、バベナーの顔は面白いものを見つけた子どものように笑っていた。
そんな兄の性格をよく知っているワルナーは頭を抱えた。
特に顔を合わせたことがないセルラインは面白がっているバベナーよりも、その息子が現れないかどうかを心配していた。
さすがにこの間のようなことは父親が許さないだろうが、会いたくないものは会いたくない。
それにアルベンスがハーレムに出入りしているのなら、そこを捕まえて出国すればいい。
小賢しい真似をせずに正面突破でいけば時間も短縮できる。
セルラインとしては後宮の場所を早く知りたかった。
「それでだな。お前たちにはアルベンスを捕まえて欲しい」
言われなくてもするつもりだった。
だが、ここがハーレムだということを忘れていた。




