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九十三章 1684 奇跡の日

-回想-

南龍王朝歴千六百八十四年、九月十六日。

私は後の神軍、当時は"星々のお茶会"と呼ばれていた組織のメンバーとして極東地域の監視を行っていた。

私を含め、星々のお茶会はとある神を探して各地の監視を行っていた。

その神は、星々のお茶会のメンバーである六合が二百五十回目の回帰の眠りについてから姿を消し、星々のお茶会のメンバーである梨々香陛下が回帰したその日に消息不明となった。

「なぜこの神に固執するのですか?」

ローラは名簿に記された名前を指でなぞりながら問う。

「妻の六合が残した日記に彼女のことが書かれていましてね・・・」

幼い姿の梨々香はティーポットを置く。

「彼女は強い後悔から自身を恨んでいる。だから、気にかけてあげて欲しい。と」

梨々香はローラを見る。

「後悔・・・ですか」

ローラは空席に用意された夜空色のティーカップを見つめる。

「彼女の後悔を晴らせるのは私だけです。だから、どうにかして見つけ出したい」

「協力してくれませんか?」

梨々香はローラを見て笑む。

「あなたの願いを断るつもりはありません。このお茶会のメンバーとして」

ローラは梨々香を見つめる。


南龍王朝歴千六百八十四年、九月十七日。

極東地域の監視を行っていた時、自然現象では発生し得ない強烈な神気波動が極東に流れた。

発生地は極東月浜の地下二十キロメートル。

あまりに広域で発生した事象ゆえに、詳細な発生地域を特定することはできなかった。

私はこの異常現象に注目し、計測器の設定を調整して特定作業を行った。

当時の私は、この現象がどれほど恐ろしいものか理解していなかった。


南龍王朝歴千六百八十四年、九月十八日。

世界中が揺れるような超異常震域地震が発生した。

間違いなく何かが起きようとしている。圧倒的未知に私はただならぬ恐怖を感じた。

そんな時、私の携帯端末に電話がかかって来た。

かけてきたのは同じく星々のお茶会のメンバー、グイードリヒだった。

そして、これが紅雷グイードリヒとの最後の通話となった。

「みんな、今すぐアーヴァンに行け・・・!梨々香様がアーヴァンに向かわれた・・・!!」

私はこの発言を聞いた瞬間、翼を広げて飛び上がった。


南龍王朝歴千六百八十四年、九月十九日。

極東地域を飛び去った私はアーヴァン王国の付近まで来た。

アーヴァン王国は目の前だった。

だが・・・

「・・・」

龍翼を広げたローラは空に昇る夜空色の光柱を見て目を見開いた。

次の瞬間、アーヴァン王国の都市が消滅して衝撃波がローラを吹き飛ばした。

-回想終了-


「私が目を覚ました時、アーヴァン王国はもう滅んでいた。この目で得られた情報は限りなく少ない」

ローラはエコーとレイチェルにトマトスープが入ったお椀を渡した。

「・・・ただの自滅ではなさそうだね」

エコーはトマトスープを食べ始めた。

「間違いなく・・・」

レイチェルはエコーを見る。

「その後は?」

レイチェルはローラに訊ねる。

「その後は色々な騒動があってな・・・あの事件について深く話し合う時間はとうとう訪れなかった」

ローラは酒を飲む。

「グイードリヒは死に、ミューテやリヴァは暗黒神を追って日夜駆け回るようになった。私もまた、作戦の指揮などで考える時間が得られなくなった」

ローラは干し貝柱を口に放り込んだ。

「お前たちにも共有しておこう。十五歳から十七歳ほどの見た目をした赫色と灰色が混ざった髪の乙女を目撃したら必ず報告しろ」

ローラはエコーとレイチェルを見る。

「そいつがアーヴァン王国事件に関与したと考えられている暗黒神、死星ラーフィアだ」

ローラは酒を飲んだ。

「死星・・・ラーフィア・・・」

エコーとレイチェルは冷や汗を垂らす。

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