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九十四章 レムフィト皇国再建会議

一方、レミリアはフィトナーゼ別邸に集まるはずの二十六の旧貴族を待っていた。

レムフィトの地下でマフィアと呼ばれていた旧貴族たちは確かに来た。

だが、当主格は一人しかいない。

養子縁組された従者や遠い血縁の人物ばかり。

第一旧貴族の当主を抜けば四女や五女が一番当主に近いという悲惨な状況だった。

「困りましたね・・・当主は?」

レミリアは集まった旧貴族たちを見て思わず困惑する。

「万象様が顕現なされた今、レムフィトに留まる必要はないと・・・」

第五旧貴族、ベルテリーチェ家と養子縁組した老従者はそう答えた。

「二十六の貴族というのは皆、レムフィトを愛しているものだと思っていましたよ。残念です」

レミリアは落胆する。

「皇国を神聖視しすぎですよ」

第一旧貴族、リリナーゼ家の当主マリー・サン・リリナーゼは手を合わせたまま笑う。

「皇国の民が今蘇ってみなさい。皆、美しき陽を求めてこの地を離れることでしょう」

マリーはレミリアを見る。

「元より、我らは一つの群れでしかありません。ボスがいなくなって何十万年も経てば、去っていく者だっているでしょう」

第八貴族、オーゼリック家の五女バーバラ・ロード・オーゼリックはレミリアを見る。

「・・・」

レミリアは不服そうに黙る。

「悲観することはありません。ここに集まっている者は間違いなくこの地を愛しています。会議を始めましょう」

マリーがレミリアを慰めると、リリナーゼ家が保管していた大量の資料が机の上に置かれた。

マリーが会議を取り仕切り始めると、会議の雰囲気は徐々に良くなっていった。

堅く考えていたレミリアも徐々に考えをほぐしたのか、表情が柔らかくなっていった。

「当時サウスドラゴニア周辺で栽培されていた茶葉が振舞われていたそうですね」

神代第二百四十九六合期九百九十九万年頃、後にサウスドラゴニアとなるアリススター地方コウチェ緑林では茶葉産業が盛んだった。

今は幻の茶葉と言われ、百グラム百リズという高値で取引されている星々の茶葉が年間百トン近く生産されていた。

「ナハトと呼ばれる神が燦水天狐族の商業団にお茶を飲む陶器製の容器を作らせ、それが王宮茶会でも使われるようになり、民間に広まってティーカップと呼ばれるようになったらしいです」

神代第二百四十九六合期九百九十九万年頃、ナハトは赫、白、青、三色の容器を作ってほしいと燦水天狐族の商業団に注文を出した。

現代にある綺麗なティーカップとは違って湯飲みに取っ手が付いたような見た目だった。

シュテルンヒンメルからティーカップは現代にある見知ったものになった。

「シュテルンヒンメルが作られたのは世界初のティーカップ誕生からかなり時間が経ってからですし、注文者がティーカップの設計図をかなり事細かにわかりやすく伝えたから完成した。らしいですよ」

旧貴族はレミリアに記録を見せる。

「色々な人、神様の性格が見えて面白いですね」

レミリアは記録を見て笑む。


同年、二月二十三日。

サトリを追っていたアンティーナ部隊が不気味な痕跡を持ち帰った。

その痕跡は、花のような形になった融解した金属だった。

「瓶に詰められているというのにここまでの神気を放つとは・・・」

グラディスは小瓶に入った金属を見つめる。

「これをどこで?」

梨々香はグラディスに問う。

「南方だと・・・」

グラディスは梨々香を見る。

「南方のどこですか?どの国のどの町?」

梨々香は問い詰める。

「く、詳しくはわからないと・・・」

グラディスは冷や汗をかく。

「すぐに詳しい位置を割り出せ。この痕跡は砲神テルメスのものだ」

梨々香は立ち上がる。

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