八十九章 曙陽の勇者、誕生
一方、アージヴァイズたちは艦内にある博物館に来ていた。
「綺麗な子だね」
「ね」
オレンジとグリードリヒが見ていた黒い髪の少女の絵画は、南龍王朝歴千六百八十二年に名もなき画家が描かれたものである。
たった二十リズで買える安物だが、梨々香にとっては記憶に残る作品だ。
「古い扇子だ・・・」
「神里 三葉って誰?」
「燦水天狐族燦水衆出身の有名な剣士らしいよ」
「ふーん」
「聞いてきたのあんたじゃん・・・」
レイチェルとオレンジとオルガは古い扇子を見る。
剣星八重 桜の師匠、神里 三葉が使っていた扇子。
ヤンチャっ子だった桜はよくこの扇子で叩かれていたらしい。
「すごい!このティーカップ絶対高いよ!」
「シュテルンヒンメルって名前なの?なんかカッコいい」
「どういう意味かは書いてないね」
「シュテルンヒンメルっていう神様がいたんでしょ?」
「そんな神様聞いたことないけどね・・・」
エコーとジュリアとキャロルは夜空色のティーカップを見ていた。
一方、レミリアと別れた梨々香はローラを呼んで話をしていた。
「君には逸材を見つける才能がありますね」
梨々香はローラを見て笑む。
「身に余るお言葉・・・感謝いたします」
ローラはお辞儀する。
「この子は一体どんな原石なんだろうね」
梨々香はタブレット端末の画面を見つめる。
「・・・陛下!」
ローラは梨々香を見る。
「どうしました?」
梨々香はローラを見て笑む。
「私、もっと強くなりたいです!この手でもっと多くの生き物を守りたいです!」
「・・・天理照赫の加護を受ければ、今の困難が小さな砂粒に思えるほどの困難に襲われることになる。君はそれでも力を求めるのかい?」
梨々香はローラを見つめる。
「私はこの命が戦禍の中で尽きようと、決して倒れないと誓います!」
ローラは頭を下げる。
「良いだろう。君を勇者として認める」
梨々香は手を広げた。
「・・・」
ローラは驚きながら陽光を見つめる。
梨々香は光を生成して落とした。
落とされた光はローラの手に納まると、最上大業物断暗万陽に変化した。




