七十七章 少女たちは世界を知る
アージヴァイズたちは部屋に戻ると、電子地図を見ながら話を始めた。
「グレムタニアなんて月浜との関係が特段深かった国だったよね」
ミッケはプロジェクタースクリーンのような薄さの大型画面に映し出される電子地図を見つめる。
「疑似神姫に心酔してる国だって、ママがそんなこと言ってた気がする」
エコーはミッケを見る。
「神軍が人に攻撃をしたことで疑似神姫の信頼がなくなりつつあるのか・・・」
アージヴァイズはチョコクッキーを食べた。
「疑似神姫が神のように扱われる・・・本当の神様がこれを見て怒るわけないもんね」
オレンジはアージヴァイズを見る。
「怒ってたわけじゃないにゃ。カルジェルド様のあの反応・・・」
マグカップを持ったミッケはお茶を見つめる。
「怒ってないとしたら・・・どういう反応?」
オレンジはミッケに問う。
「何とも思ってない・・・その気になれば、戦わずとも潰せるんだから・・・」
ミッケは少し怯えながら答えると電子地図を見た。
「・・・」
アージヴァイズたちは再び電子地図に視線を移して冷や汗を垂らした。
一方、グラディスは梨々香を探して神軍拠点艦一番艦イクイノックスの艦内を歩いていた。
「陛下は?」
グラディスはエリーに訊ねる。
「総帥室じゃないの?」
エリーはそう答えた。
「総帥室にはいなかった」
「じゃあ、知らない」
エリーの答えにグラディスは再び歩き出す。
グラディスはミューテを見つけるとすかさず話しかけた。
「陛下は?総帥室にはいなかった」
「教会にいるはずだよ」
ミューテはグラディスを見て笑みながらそう答えた。
「ありがとう」
グラディスはミューテに礼を言うと教会区に向かった。
この教会区には都市の一区に相当する規模の神社、輝羅々大社がある。
この巨大な神社には、梨々香すらも神聖視する"銀月の滔流"が奉納されている。
「陛下」
グラディスは銀色の輝きを放つ銀月花が咲き乱れる花畑に立つ梨々香を見ながら声をかける。
「ここまで来るとは・・・重要な話みたいですね」
銀色の光をサラサラと漏らす花弁を見つめていた梨々香は盃に入った酒を飲み干すと振り向いた。
梨々香が近くまで来るとグラディスは口を開いた。
「アージヴァイズ・ニコルが太陰の気を宿したかもしれません」
グラディスはそう報告する。
「太陰の気ですか・・・」
梨々香は少し考える。




