七十六章 神軍総帥
同年、一月十七日。
アージヴァイズたちは神軍拠点艦三番艦フカマの食堂でテレビを見ていた。
テレビには雪が降り積もる平和なレムフィト北海岸が映されている。
「あの神軍幹部はまだこの船に居るのか?」
「お答えできません」
「他に神軍幹部は乗ってないのか?」
「お答えできません」
「何か面白い話はないか?」
「お答えできません」
アージヴァイズの質問に神軍上位組織員が淡々と答えていく。
「なんだよ・・・壊れたスピーカーかよ・・・」
アージヴァイズは机に突っ伏した。
「まぁ、暇なのはわかるよ?でも、質問ばっかりしてたら迷惑だよ」
眉を顰めたオレンジはアージヴァイズを見て笑む。
「あなたたちが保護された四人ですか」
梨々香はアージヴァイズたちを見て笑む。
「へ、陛下!」
神軍上位組織員は梨々香を見て慌ててお辞儀した。
「へい・・・か~?」
オレンジは驚きながら梨々香を見上げる。
「で、デケェ・・・」
冷や汗をかくエコーは梨々香を見上げて驚く。
「お前・・・じゃなくて、あなた様が万象様、カルジェルド様か?」
アージヴァイズはぎこちなく質問する。
「そうですよ」
梨々香は笑みながらそう答える。
「何してる神様なの?」
ミッケは梨々香に質問する。
「ここを管理しています」
「なぁ、面白い話とかないか?神様なんだからなんかあるだろ?」
警戒心を解いたアージヴァイズは梨々香に訊ねる。
「おい、小娘!陛下に向かってなんてことを!!」
冷や汗をかいた神軍上位組織員はアージヴァイズを見て焦る。
「構いませんよ」
梨々香の言葉に神軍上位組織員は黙ってお辞儀した。
「しかし、面白い話ですか。少し難しいですね・・・」
梨々香は少し考える。
「結晶蘇生研究なんてどうでしょうか。結晶化してしまった生物に化学元素を注入して生物に戻すという研究なんですが」
梨々香はアージヴァイズを見て笑む。
「面白くない・・・」
アージヴァイズは蔑んだ目で梨々香を見つめる。
「では、試製エ-七一九九六合金の話はどうでしょう。普段は固い金属なんですが、損傷すると半金属になって自分で損傷部を直すんです」
「面白くない!何言ってんのかわかんねぇよ!」
アージヴァイズは梨々香に怒鳴った。
「困りましたね・・・」
梨々香は再び考える。
「そうだ!なんか変な髪が長い奴が何者なのか聞きたい!」
アージヴァイズは梨々香に訊ねる。
「髪が長い奴?」
梨々香はアージヴァイズを見る。
「私たちを襲撃した!」
アージヴァイズはオレンジたちを見て笑む。
「そうだ!私たちを襲撃した髪が長くてなんか白っぽい服を着た!」
オレンジは梨々香に話す。
「あれは巫女服って言うんだにゃ。南極島の燦水天狐族発祥で、泣代連の泣代大社が使い、現在は月浜大社の伝統服として使われているんだにゃ」
ミッケはアージヴァイズとオレンジを見る。
「その特徴だと・・・正体はサトリですね」
梨々香はそう答えた。
「サトリ?」
アージヴァイズは梨々香を見つめる。
「月の怪物サトリ。幻想を魅せる眼、幻想眼によって神に近い力を使う怪物です」
「そいつ、強いのか?」
アージヴァイズは梨々香に問う。
「戦闘能力は高いです。能力戦となれば一部の神しか互角に戦えないでしょう」
「それって・・・相当強くない?」
エコーは梨々香を見て不安げに眉を顰める。
「倒せない相手ではありません。能力が厄介なので、出会う時があればお気をつけて」
梨々香はアージヴァイズたちを見て笑みながらそう忠告する。




