七十章 神軍幹部総括者
アージヴァイズは何かを激しく叩く音を聴いて目を覚ます。
「・・・山下・・・」
アージヴァイズは猟銃の銃床で昇降口の扉を叩くゆかりを見つめる。
「・・・」
アージヴァイズが起き上がろうとすると、鼻から大量の血が流れ出した。
ゆかりは突如叩くのをやめて猟銃を地面に立てた。
その瞬間、扉が開いた。
「いい判断だ」
ローラは地下室をのぞき込む。
「どうも」
ゆかりはアージヴァイズたちをローラに渡していく。
「エリー・・・」
アージヴァイズはボロボロになったエリーを力なく見つめる。
「よく生きていたものだ」
ローラは無痛注射器を使ってアージヴァイズに神気分解薬を投与した。
「すぐに運び出せ」
ローラはゆかりに命令する。
「仮拠点に仲間たちがいる。私たちを待ってるはずだ」
アージヴァイズはゆかりを見る。
「待っていませんよ。ここにはもう生き物なんていません」
ゆかりはアージヴァイズを見る。
「それでも、行かないと・・・」
「そこまで言うのならもういいだろう」
ローラがそう言うとゆかりが振り向いた。
「あとは向こうに任せる」
エリーを担いだローラはゆかりと共に飛び去った。
オレンジたちが意識を取り戻すとアージヴァイズたちはチダリア調査班の拠点に戻った。
しかし、拠点には人がいない。あるのはあの結晶だけだ。
「・・・」
ミッケは宇宙を閉じ込めたような結晶を黙って見つめる。
「み、みんなは??」
オレンジは困惑しながら拠点内を見渡す。
「これだ・・・これがみんなだ」
ミッケは結晶に触れた。
「・・・わかってた。わかってたんだけどよ・・・」
アージヴァイズは結晶を見つめる。
「驚いた。この濃さの神気に耐えられる人間がいるなんて・・・」
龍王眼、白髪セミロングヘア、黒いコルセットドレスで身を包んだ色白な肌の少女はアージヴァイズたちを見つめる。
「!?」
ミッケ以外は驚きながら謎の少女を見た。
「・・・最悪の破壊者・・・」
ミッケの呟きにアージヴァイズたちの背筋に氷を流し込まれたような戦慄が走った。
「最悪の破壊者・・・?」
アージヴァイズたちはミッケを見て冷や汗を垂らす。
「君、物知りだね。ヴェルベサ・アンドリーネ・クリスティーナ・ロードハーツ。今は神軍幹部総括者だよ」
ヴェルベサ・アンドリーネ・クリスティーナ・ロードハーツはミッケたちを見て笑む。
「神軍幹部総括者??」
アージヴァイズたちはヴェルベサを見て冷や汗を垂らす。
「濃い神気に晒された生き物は科学的な物質を全て失う。残るのはオカルトだけだ」
ヴェルベサは結晶を見つめる。
「わ、私たちはどうして・・・」
オレンジは自分の手を見つめる。
「神気に耐性がある。又は、神から強い加護を受けている。その両方かもしれないけど」
ヴェルベサはアージヴァイズたちを見つめる。
「・・・」
アージヴァイズたちは不安そうにヴェルベサを見た。
「まぁ、とりあえずこっから離れよっか。近くに船が来てるからおいで」
ヴェルベサはアージヴァイズたちを見て微笑んだ。




