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六十六章 タムセイ川事件 其三

「うぅ・・・」

目を覚ましたアージヴァイズはゆっくりと体を起こす。

「山の外・・・?とんでもなく吹き飛ばされてねぇか・・・?」

山を見たアージヴァイズはふらつきながら座った。

「災難でしたね」

ゆかりはアージヴァイズたちを見る。

「山下!」

アージヴァイズはゆかりを見て嬉しそうに笑む。

「って、なんかすごい人数だな・・・」

アージヴァイズは山下部隊の隊員たちを見て少し驚きながら言葉を紡ぐ。

「どうしてここに?」

アージヴァイズは再びゆかりを見て笑む。

「少々用事があったので」

「アージヴァイズ・・・誰?その子・・・」

ゆかりを見たオレンジはゆっくりと起き上がる。

「山下っていうやつだ。黒い奴に吹き飛ばされた時、陸まで送り届けてくれたんだ」

アージヴァイズはオレンジたちに説明する。

「へぇ~・・・」

オレンジたちはゆかりを見つめる。

「私の上司が大きなミスをした」

歩みを進める度ツインテールが揺れるローラはそう言いながら歩みを進め続ける。

「・・・」

ゆかりたちは道を開けてお辞儀した。

「大変申し訳ない」

部下を連れたローラは歩みを止めてアージヴァイズたちを見た。

「同じ神軍に所属する者として深く謝罪する」

ローラはアージヴァイズたちに深く頭を下げた。

「神軍だって・・・?あんた・・・何者だ?」

アージヴァイズはローラを見て冷や汗をかく。

「初めまして、お嬢さん。ローラという者だ」

ローラはアージヴァイズを見て笑む。

「名前なんて聞いてねぇ!お前!神軍のなんだよ!?」

冷や汗を垂らすアージヴァイズはローラの言葉を遮るようにそう言った。

「神軍幹部第四位。それが私の席だ」

ローラは薄紫色の稲妻を纏い少し宙に浮かんで座った。

「どうして神軍がレムフィトに?」

エコーはローラに問う。

「陛下から任を受けたから来た。詳しいことは言えない」

ローラはそう答えた。

「い、言えないことをしてるのか!?」

アージヴァイズはローラを問い詰める。

「あまり大きな声で話さない方が良い。相手から情報を引き出せなくなる」

ローラはアージヴァイズにそう説く。

「そ、そうなのか・・・」

アージヴァイズは語気を弱めて大人しくなる。

「学べて偉い子だ。もう少し話してあげよう」

ローラはアージヴァイズに微笑む。

「軍人である君たちは一般人や記者団に作戦を公開できないはずだ。なぜなら、軍という組織には軍法という決まりがあるから」

「まぁ・・・そうだな」

「私も君と同様、任務について話せない。神軍にも神軍の決まりがあるからね。わかったかい?」

「わ、わかった・・・」

「陛下・・・って誰のこと?」

ミッケはローラに問う。

「陛下はその功績から様々な名を持つ」

「南の大地ではカルジェルド、西の大地ではリッケリッド。ここでは万象、又は、カルジェルドに様をつけて呼ばれている」

ローラはそう答えた。

「万象?」

アージヴァイズたちはローラを見て少し驚く。

「リッケリッド・・・原初の太陽を意味する言葉・・・」

レイチェルがそう言うと、ローラがレイチェルを見た。

「あなた・・・アディさんだね?」

冷や汗を垂らすレイチェルはローラを見つめる。

「アディさん?」

オレンジとエコーはレイチェルを見る。

「残念だが時間だ」

ローラはゆっくりと地面に着地した。

「そろそろ行こう」

薄紫色の稲妻が音を立てて弾けると、アージヴァイズたちは驚いた。

「・・・」

ゆかりたちはローラを見てお辞儀した。

「では、さようなら」

ローラはアージヴァイズたちを見てそう言うと、神軍組織員に続いて山へ向かった。

「・・・」

レイチェルたちがローラを見つめているとローラが脚を止めた。

「次会った時に昔話でもしようじゃないか」

ローラはそう言うと、振り向いて笑んだ。

ローラは前を向いて歩き始めた。

「・・・」

レイチェルたちはローラの後姿を見て涙を堪える。

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