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五十九章 アレス対烏輪の勇者

「この気配・・・七陽の勇者か」

跳び避けたアレスは笑みながらそう言った。

黒い柄、金色の鍔、黒色の鎺、曇りなき銀色の刀身の最上(さいじょう)大業物(おおわざもの)天現烏輪(てんげんうわ)が離れたアレスに向かって再び振られる。

アレスは金色の文字が刻まれた漆黒の大剣、大剣マティアスを握ると最上大業物天現烏輪を受け止めた。

「・・・」

最上大業物天現烏輪を握ったミューテは体を浮かせながらもアレスを見つめる。

「流石だ、七陽の勇者!」

大剣マティアスを握ったアレスはミューテを蹴り飛ばした。

大業物明乃白隼を握ったカスミはアレスに素早く接近する。

カスミを察知したアレスは大剣マティアスを地面に突き刺して地面を爆発させる。

カスミは辺りに飛び散った血色の神気を纏った破砕片に当たって糸が切れたように滑りながら倒れた。

土煙の中から飛び出したミューテはアレスに素早く切り込む。

ミューテとアレスは真正面から打ち合った。

重く甲高い金属音が鳴り響く中、ミューテが押し切られて体勢を崩す。

アレスは体勢を崩したミューテに向かって大剣マティアスを振る。

ミューテは大剣マティアスを両腕の籠手で受け止めて押し返した。

烏輪(うわ)陽療(ようりょう)華翼(かよく)

ミューテは自分の力を回復させながら最上大業物天現烏輪を構える。

闇雷(あんらい)!!」

地面を砕きながら踏み込んだアレスが大剣マティアスを振る瞬間、漆黒の稲妻が発生した。

一瞬の静寂の後、雷鳴と共に凄まじい衝撃波が発生して数百棟の建物が砕け散った。

「ゲホッ・・・ゲホッ・・・」

吹き飛ばされたミューテは咳き込みながらアレスを睨む。

「丈夫なだけか?つまらんな」

大剣マティアスを担いだアレスはミューテに向かって歩みを進める。

(ダメだ・・・ダメだ、カスミ!!)

ミューテは音もなくアレスに近づくカスミを見て目を見開く。

(こいつはそこらの闇化生物や魔塊眷属なんかじゃない・・・)

ミューテは最上大業物天現烏輪を地面に突き刺して回復陣を展開した。

「・・・」

カスミがアレスに飛びかかろうとした瞬間、アレスの拳が宙を叩いた。

カスミは拳が発生させた衝撃波を受けて再び倒れる。

「瞬斬」

ミューテの声と共にアレスが斬れて燃えながら液状神気を噴き出した。

「驚いた・・・見えなかったぞ」

アレスは笑いながら振り向いた。

「だが、惜しいな」

アレスは大剣マティアスで最上大業物天現烏輪を防いでミューテを蹴り飛ばした。

吹き飛んだミューテは時計塔に激突した。

「威力がない」

アレスは瞳から薄っすらと赫色の光を漏らし、不敵な笑みを浮かべながら大剣マティアスを構えた。

「あの扉、大丈夫だよね・・・?」

止まった時計の針を掴んだミューテは下を見つめる。

「この炎・・・」

ミューテは驚きながら時計の針を離して飛び降りた。

ミューテが体勢を崩しながら着地したその瞬間、渦巻く血色の炎が漆黒の稲妻を放ちながら大爆発を起こした。

時計塔は砕けて大量の瓦礫が辺りの建物に降り注いだ。

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