五十七章 マッケリス観光
同年、十二月十四日。
朝食を終え、身支度を済ませたリリーたちは観光に出た。
先ず、リリーたちが行ったのは最高品質の茶葉が揃った茶屋だ。
「お茶に興味あるの?」
レイチェルはミッケに近づく。
「月浜打撃軍にお土産を買うんだにゃ。みんな結構お茶を飲むからにゃ」
ミッケは茶葉を選ぶ。
「そっか、お土産か・・・」
レイチェルは茶葉を見る。
一方、アージヴァイズとジュリアも茶葉を選んでいた。
「この茶葉・・・月浜の茶屋にもあった」
「へぇ~。いい茶葉なのか?」
「うん、中々出回らない良いお茶の葉だって。百グラム十リズだった」
「たっか!!」
「でも、ここだと百グラム百スーなんだ」
「え?もしかして、月浜ってめっちゃボってる?」
アージヴァイズとジュリアが茶葉を選んでいると、キャロルが声を上げた。
「ねぇ!蒼花茶のリキュールだって!」
「マジ!?」
レイチェルはキャロルの声に真っ先に反応して駆け出していった。
一方、リリーは少し離れたところで町を見ていた。
「陛下・・・」
エリーはリリーに近づく。
「・・・どうした?」
リリーはエリーを見る。
「どうして私に小娘の相手をさせるんですか?」
「お前はもっと人を知る必要がある」
「人のことなんて・・・」
「今が分岐点だぞ、エリー。神座を見上げる龍となるか、神座より俗世を見下ろす神となるか・・・」
リリーの言葉にエリーは黙り込んだ。
午後一時二十分。
買い物と昼食を終えたリリーたちがのんびりしていると道路と歩道の間に簡易柵が設置されて神軍の組織員たちが警備を始めた。
「なにか始まるのかな?」
オルガは道路沿いに集まる人々を見る。
「都の主を乗せた駕籠が来るからね」
リリーがそう言うとアージヴァイズたちは立ち上がって人だかりの方へ走った。
「どこかな!まだかな!」
道路を見るキャロルは目を輝かせる。
「うーん」
アージヴァイズたちは左右を見ながら唸った。
その時、遠くから笛と鈴と鐘の音が聞こえてきた。
駕籠を担ぐ者たちは黒い服で全身を包み、顔を黒い布で隠し、首元には黒い布を巻き、手は長い袖の中に隠している。
肌が一切見えない担ぐ者たちは非常に不気味である。
演奏する者たちは手が見えるが何か塗っているかのように真っ白だ。
「・・・これに神軍幹部が・・・」
「あまりに異質・・・この世の物とは思えない・・・」
鳴りやまない歓声の中、アージヴァイズたちは冷や汗をかきながら駕籠を見てそう呟いた。
その時、辺りの雰囲気が冷たさと暑さが混じった気持ちが悪いものへとじわじわと変わり始めた。
そして、何かが駕籠を押しつぶすと共に爆発と見まがうような凄まじい衝撃波が発生した。
「な・・・に・・・?」
吹き飛んだグリードリヒは目を回しながらそう言った。
「・・・」
邪眼の乙女は剣を抜いた神軍組織員たちに視線を移す。




