四十二章 神と人の差
「山下です。山下 ゆかりです。潜水艇で移動していたところ、海に落ちて来たので急遽引き上げました。とてもビックリしましたよ」
謎の女性、山下 ゆかりはアージヴァイズの無事を確認すると傍に置いてあった大きな荷物を背負った。
「助けてくれたのか・・・ありがとな」
アージヴァイズは状況を把握するように呟いてからゆかりに感謝の言葉を述べた。
「礼には及びませんよ。では」
大きな荷物を背負ったゆかりは笑みを浮かべてあいさつすると、潜水艇が停泊する堤防の方へ歩き出した
「そうだ・・・リリーは!黒い奴は!」
アージヴァイズは慌てて空を見渡す。
「あんた!」
アージヴァイズは大きな荷物を背負ったゆかりを追いかけた。
「触らないでくださいね」
歩みを止めぬまま放たれたゆかりの言葉には、先ほどまでの穏やかさを塗り潰すような絶対的な拒絶が宿っていた。
「!?」
アージヴァイズは反射的に足を止めて硬直した。
「何か御用ですか?」
立ち止まった大きな荷物を背負ったゆかりは振り返った。
「・・・そうだ!潜水艦に観測用の双眼鏡とかあるだろ!?上で戦っているであろう仲間を見たいんだ!」
呆然としていたアージヴァイズはゆかりに状況を伝える。
「・・・はぁ・・・わかりました。ついて来てください」
大きな荷物を背負ったゆかりはため息をついて渋々案内する。
四分とちょっと歩き、潜水艇が近くで見える位置まで来た。
潜水艇は二、三人用の小さなもので、色も白色を基調に船首が明るい緑色と少々子供っぽい。
「なんか安っぽ・・・大丈夫かよ」
どうやら、アージヴァイズが想像していたような潜水艦ではなかったようだ。
「文句があるなら乗せませんよ?」
大きな荷物を背から下ろして手に持ったゆかりは軽く潜水艇に跳び乗った。
「身体能力すげぇな・・・」
アージヴァイズは驚きの言葉を零すと少し助走をつけて潜水艇に跳び乗った。
「おぉ!」
アージヴァイズが跳び乗った衝撃で潜水艇が大きく揺れ動く。
「こぅえぇ~・・・!!」
アージヴァイズは必死にしがみつく。
「では、潜航せず行きますので適当に見てください」
大きな荷物を持ったゆかりは潜水艇の中に入っていった。
「ちょっと心配だな・・・まぁ、良いか」
アージヴァイズは艦橋にある大型の双眼鏡に向かって歩いていった。
「どこだ・・・」
アージヴァイズが観測用の双眼鏡を動かしていたその時、艦橋付近に腕が落ちてきた。
「うわぁぁ!?」
音に驚いたアージヴァイズは青緑色の液状疑似神気を垂らす腕を見る。
一方、上空。
「・・・」
カルジェン・バースは糸を赤く輝く刀に絡める。
カルジェン・バースがその装備が持つ力と疑似神気によって強化された身体能力を使ってリリー・ゼノクイーンを引き寄せるもその赤い光はピクリとも動かない。
「・・・」
リリー・ゼノクイーンはカルジェン・バースをいとも簡単に引き寄せる。
(か、敵わない・・・力が強すぎる・・・)
カルジェン・バースは赤く輝く刀を握ったリリー・ゼノクイーンを見て唖然とする。
「さらば」
カルジェン・バースを抱き寄せたリリー・ゼノクイーンはそう言うと赤く輝く刀でカルジェン・バースの首を斬った。
カルジェン・バースの首から青緑色の液状疑似神気が噴き出す中、リリー・ゼノクイーンはバース級の装備からAZ codeを抜き取った。




