三章 水の都に降る赤い星
空戦が始まった。だがそれは、戦いと呼べるものではなかった。
月浜軍の疑似神姫TT-42B231Atia Zenと量産型戦姫I-1。
両者の間には、残酷なまでの性能差が存在していた。
毎分二百四十発を叩き出すエネルギー砲、時速一千キロを超える俊敏性、空中で自在に静止する疑似神姫に対し、I-1は加速にすら時間を要し、ただ翻弄されるばかりだ。
貫徹力、速度、旋回性能、その全てにおいて劣るI-1が挑むにはあまりに無謀だ。
案の定、空を舞うI-1は次々と撃墜されて地上の戦況も一変する。
勢いづいたアウス陸軍は東和連合軍を追い詰める。
そんな中、勝利を確信した兵士の一人が安堵と共に銃座に腰を下ろした。
「ふぅ・・・・・・」
兵士は震える脚を眺め、ふと空を見上げる。
兵士は小刻みに震えている脚を少し見るともう一度上空を見た。
灰色の雲の向こうに、奇妙な輝きが見えた。
昼夜を問わず輝く、不吉なほど鮮烈な"赤き星"。
その星は恐怖する兵士の瞳の中でキラキラと不気味に輝く。
空中では、ツァノがフライ・カルデッドディアを前に死を覚悟していた。
だが、引き金が引かれる寸前、螺旋を描いて流星の如く降り注いだ赤き光弾たちが戦場を容赦なく引き裂いた。
「赤い・・・星・・・?」
兵士の瞳に映る地上を焼き尽くす流星。
降り注ぐ光弾は巨大な爆発を繰り返し、戦場は一瞬にして赤い炎の海へと沈んでいった。
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