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三十二章 出遭う

月浜打撃軍のメンバーは会議室から足早に出たリリーを追いかけてカフェテリアに行った。

しかし、そこにリリーの姿はなかった。

「リリー・・・どこ行ったんだ・・・あいつ・・・」

アージヴァイズはカフェテリアを見渡す。

「誰かに御用?」

桜花はアージヴァイズを見て笑む。

「あんた、リリーを見なかったか?」

アージヴァイズは桜花に問う。

「リリーは見なかったよ」

桜花は笑みながらそう答えるとドーナツを買いに行った。

「リリー・・・どこ行ったんだろう」

オレンジが呟いていたその頃・・・


リリーは既に遠く離れたクォーツ島の廃坑深部へと足を踏み入れていた。

「・・・」

寒く冷たい廃坑を歩いていたリリー・ゼノクイーンは廃坑の最深部に生える白き水晶に座すその存在を見下ろす。

「臭うな・・・焼け焦げた香りがする」

邪眼、白髪ロングヘア、スカートの裾から液状闇が垂れるミニコルセットドレスを着た乙女は見上げて視線をリリーに向ける。

「・・・」

リリーは邪眼の乙女を見る。

「お前か?女帝様に傷をつけたという剣王は・・・」

邪眼の乙女はゆっくりと立ち上がる。

「奴が剣王と呼ぶ存在は私だけだ」

リリーはそう言うと最深部へ飛び降りる。

「謎が解けた。この神気を警戒していたのか」

リリーは降下しながらも邪眼の乙女から視線を外すことなく真っすぐと見つめる。

「私の瞳には、お前の瞳が黒玉(こくぎょく)のように映っている」

音もなく着地したリリーは邪眼の乙女の瞳を見つめながら赤く輝く刀を生成して握った。

「隠蔽を見抜くとはな。女帝様が恐れるだけのことはある」

邪眼の乙女は金色の文字が刻まれた漆黒の大剣、大剣マティアスを生成して握った。

華千﨑(かせんざき)一族は、全員黒玉のような瞳を有していた。例外は、現人神である私だけだった」

リリーが赤く輝く刀を構えながらそう告げると邪眼の乙女が大剣マティアスを一振りしてリリーに接近する。

「何が言いたい?」

邪眼の乙女はリリーに斬りかかる。

リリーが赤く輝く刀で大剣マティアスを受け止めた瞬間、凄まじい衝撃で白き結晶が消し飛び、地面が砕けて隆起した。

「お前もなのか?お前も華千﨑一族の誰かの魂を燃やして動いているのか!?」

衝撃が廃坑を駆け巡り、白い結晶がパラパラと堕ちる中、リリーは力を籠めて全力で大剣マティアスを押し返した。

しかし、すぐに体勢を立て直した邪眼の乙女に蹴り飛ばされて坑道を封鎖する石積みの壁に激突した。

石積みの壁は激突と共に崩れてリリーを埋めた。

邪眼の乙女は崩れた石積みの壁に向かって歩みを進める。

一歩、二歩、三歩と歩みを進めていたその時、廃坑を凄まじい熱気が駆け巡った。

「・・・ッ!!」

邪眼の乙女は驚きながら腕で顔を覆う。

「なんだ・・・この気色が悪い感覚は・・・」

邪眼の乙女は喜びとやるせなさに包まれながら真っすぐ飛び上って廃坑から飛び出した。

「あぁ・・・」

蠢く石の中から土埃を被ったリリーが出てきた。

「最悪な気分だ・・・」

リリーは石を投げて退かすとゆっくり立ち上がった。

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