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三十章 迫る最悪の事態

同年、九月二十日。

カルジェン・バース率いる疑似神姫部隊がレムフィト領空ギリギリ外の国際空域に飛来した。

偵察のためか数時間ほど飛び続けていたが現在は飛んでこない。

とはいえ、北海の公海上には月浜の艦隊が常駐しているという状況。

東和連合レムフィト支部の上層部は最終的に北海岸の戦力を警戒して攻撃してこないと結論を出した。

「と、いうわけでして・・・」

月浜打撃軍の軍人1はリリーを見つめる。

「東和連合の上層部はどこの支部でも無能なんだな。来てるのは精鋭級疑似神姫、No.29だ。掃海艇や無人機にビビるわけない。何か裏があるはずだ」

リリーは書類を見つめる。

「まぁ、私も同じ考えですが・・・」

「上層部の意見だから何も言えないんだろ?」

書類を持つリリーは月浜打撃軍の軍人1を呆れたように見る。

「えぇ・・・まぁ・・・」

「私の考えだが、カルジェンは慎重に行動せざるを得ない状況に立たされている。艦隊を瞬時に殲滅するようなやつが近くにいる可能性が高いってところか」

リリーは再び書類に目線を移す。

「そんな兵器あるでしょうか?」

月浜打撃軍の軍人1は考えながら言葉を漏らす。

「兵器じゃない」

「え?」

「私の考えを言おう」

資料を持ったリリーは月浜打撃軍の軍人1を見つめる。

「神軍」

リリーの言葉に月浜打撃軍の軍人1が冷や汗をかく。

「神軍が北海、それもレムフィトに比較的近い場所に居る。バース級が中心に居る疑似神姫部隊を容易に止められるなんて中立国か神軍くらいだ」

「し、神軍なんてあり得ません!そうだ、中立国の艦隊がレムフィトの港に寄港するんじゃないですか?」

月浜打撃軍の軍人1は焦りながら言葉を紡ぐ。

「中立国ならレムフィト政府に通達する。寄港するならなおのことだ」

「ど、どうすれば・・・!!」

月浜打撃軍の軍人1は酷く焦る。

「知らないよ。連合総長様にでも祈っとけば良いんじゃない?」

リリーは適当にそう言いながら資料を机の上に置いた。

リリーと月浜打撃軍の軍人1が話をしているとドアがノックされた。

「どうぞ」

月浜打撃軍の軍人1はドアの方を向く。

ドアを開けて部屋に入って来たのは厳しい表情を湛えたクリスティーナだった。

「グローニア総長、少し会議に参加してくれないだろうか」

クリスティーナの願いをリリーは承諾して立ち上がった。

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