二十七章 リリー対グイードリヒ
「後悔させてやる!!私に喧嘩を売ったことを!!」
黒の剣を生成して握るグイードリヒは黒色の光翼を広げて怒鳴った。
「はぁ・・・」
リリーは少しうつむいてため息をつくとゆっくりと立ち上がった。
「その幼稚・・・それが制裁の魔神だったものの姿か?」
リリーはグイードリヒを哀愁籠る瞳で見つめる。
「よ、幼稚・・・?幼稚だって!?」
グイードリヒは目を見開いて怒鳴った。
「幼稚だ。幼稚が極まっている」
リリーはテーブルの上に手を置いた。
リリーがスッと動いたその瞬間、グイードリヒは黒の剣を握り込んで振るった。
振られた黒の剣は斬撃波を放ち、斬撃波がリリーに向かった。
リリーは斬撃波を弾き飛ばしてグイードリヒの目の前まで迫った。
(こいつ・・・!!)
黒の剣を握ったグイードリヒはリリーを見て驚愕する。
リリーの手に握られていたのは、ただのスプーン。
リリーはただのスプーンで斬撃波を弾き飛ばしたのだ。
「天道、灼華炎冠」
スプーンを握ったリリーはそう言うと縦に一回転した。
「こいつ・・・人間じゃない・・・!!」
グイードリヒは放たれた冠状の炎を見て唖然とする。
「アァァアァァァ!!!!」
黒の剣を手から離したグイードリヒは叫びながら顔を押さえ墜ちていった。
「・・・な・・・なんだ・・・この傷ぅ・・・」
グイードリヒは怯えながら火傷を負った箇所を抑える。
「・・・」
グイードリヒは倒れたまま振り向く。
「・・・」
グイードリヒは逆光の中で輝く赤い瞳を見つめる。
「去れ。もう、二度と私の前に現れるな」
リリーはそう言いながら去っていく。
(今のは・・・幻・・・?)
グイードリヒはリリーの後姿を見つめる。
ハット意識を取り戻したグイードリヒはリリーに背を向け全速力で空の彼方へと逃げ出した。
「・・・う、嘘・・・だろ?」
目を覚まし、起き上がったアージヴァイズはボロボロになった街を見て驚きながら苦しそうに言った。
「うわぁぁぁぁ!!火がすげぇぁぁぁぁ!!!!」
破裂音を聴いて我に返ったアージヴァイズはカフェの室内から小爆発して上がる炎を見て冷や汗を垂らしながら叫んだ。
「臭!焦げ臭!」
ミッケは急いで起き上がりながら言った。
「も、燃えてる!?」
エコーは炎を見てそう言うと、飛び起きた。
「え!?」
オレンジは炎を見てそう言うと、炎から離れた。
こうして、平穏な休日は最悪の形で幕を閉じた。
そして、この一件により橘花国は戦姫隊を秘匿している疑いをかけられた。
そんな橘花国は外交的破綻を免れるため、即座に少女たちへレムフィト国への強制異動を命じた。




