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二十三章 あの時を思い出す

リリーから逃げて波が激しく打ち付ける磯を見るカルジェンは"あの時"を思い出す・・・

「!?」

目を見開いたカルジェン・バースは赤眼、頭に黒い二本の龍角。赤と黄のインナーカラーが入った黒髪ツインテール、黒色の丈がかなり短い服を着て黒色のショートパンツを穿き、腕から龍鱗と龍爪を生やした微褐色肌の少女、グラディスを見つめた。

グラディスが黒銀の煌く龍翼を広げると途轍もない熱が発生して半径一キロ圏内に居た疑似神姫が吹き飛んでいった。

「これで・・・これであいつは力を使い切ったはず・・・!!」

カルジェン・バースは旋回しながら陽炎が上がる海を見て冷や汗をかきながら言った。

カルジェン・バースたちが空中にある炎にエネルギー砲を構えたその時、炎がかなり速い速度で飛び始めた。

背から生やした黒銀の龍翼を羽ばたかせて飛ぶその姿は、あまりに力強く力を使い切ったとは到底思えなかった。

「どうして・・・」

カルジェン・バースはグラディスを見て唖然としながら言った。

「・・・」

カルジェン・バースたちを見つめながら空中で静止したグラディスは口から凄まじい熱気と炎を漏らす。


カルジェンは中立国から届いた酒を開けて騒ぐアウス民たちを見るとそこへ歩いていった。


同年、九月一日。

ベルカンゼウ復興ボランティアの活動が終わり、リリーは橘花国へ戻ることになった。

「困ったらいつでも相談してくれよ。君は戦後アウス史に残る偉大な恩人だからな!」

アウス民たちはリリーと握手をしていく。

「ありがとう。お元気で」

握手に応じるリリーの表情はいつになく穏やかだった。


アウスを離れ、ガタゴトと揺れる列車に揺られて橘花国へと向かう。

客室の向かいの席にはやはりカルジェンがいた。

「・・・神具を持ってて怖くないの?」

カルジェンはリリーを見てそう言った。

「別に」

リリーはカルジェンを見てそう言った。

「神具なんて一人で持っていても何もできないのに・・・」

カルジェンはうつむいて膝の上で拳を握った。

「うまそ~」

リリーは駅弁を開けながらそう言った。

「・・・リリー、前私に言ったよね?責任を負えないような行為は止せ。人が対処できる事象なんてないに等しいって」

カルジェンはリリーを見ながら強く言った。

「うん」

割り箸を握ったリリーは駅弁を食べながらそう言った。

「リリーは神具を一人で持っていて責任を負えるの?できないよね?たった一人の人間だもん」

カルジェンはリリーを見て笑みながらそう言った。

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