二十一章 新たなる観光資源の予感
同年、八月二十八日。
リリーは早朝からレムフィト経由で来た物資の荷下ろしを手伝っていた。
「はい」
リリーはカルジェン・バースにアウス原産のフルーツの苗が入った木箱を渡しながら言った。
「・・・」
カルジェン・バースは少し眠そうに木箱を受け取って運んだ。
「・・・リリー様?」
アウス民1はリリーを不思議そうに見つめる。
「どうした?」
リリーはアウス民1を見る。
「そんな髪色・・・でしたっけ?」
アウス民1が疑問に思うのは当然だ。リリーの髪は黒紫色に染まっていたのだから。
「・・・世の中には触れてはいけないものがあるもんさ。触れない方が良い」
リリーはアウス民1を見て冗談を言うようにそう言った。
「・・・」
カルジェン・バースはリリーを見つめた。
リリーは荷下ろしを終えると朝ご飯を食べに港へ行って海産物を見始めた。
「カニだ」
リリーは大きなカニを見て笑みながら言った。
「カニ?」
青い作業着に身を包んだ疑似神姫、ユニ・オブ・ヤングがカニの入った重い箱を運びながら問いかける。
「燦水天狐族の間でよく食べられてるんだ。結構美味しかったよ」
「へぇ~」
ユニはリリーを見てそう言った。
「だって」
ユニは漁師を見てそう言った。
「って言われてもなぁ・・・売れないんだよ」
漁師は大きなカニを見てそう言った。
「これ買う。いくら?」
大きなカニを指さすリリーは漁師を見て笑みながら言った。
「まぁ、そうだなぁ・・・五百スーで良いよ」
漁師はリリーを見てそう言った。
「はい」
リリーは漁師に五百スー硬貨を渡しながら言った。
「はい毎度~」
漁師はリリーを見て笑みながら言った。
リリーはカニを持って広場へ行くと、薪に手をかざして赤い光を放ちって火をつけ、大きなカニを解体してミリア浄水場で貰った水を沸かし、茹で始めた。
「何してるの?」
カルジェンはカニが入った煮える鍋を見るリリーを見てそう言った。
「カニを茹でてるの」
リリーはカニが入った煮える鍋を木の棒で突きながら言った。
「・・・カニ・・・」
カルジェンはカニが入った煮える鍋を見てそう言った。
リリーは茹で上がったカニを木の板に移して、解体して食べ始めた。
「食べるか?」
カニを食べるリリーはカルジェンを見てそう言った。
「い、いやぁ・・・やめとく」
赤く茹で上がったその異形な姿にカルジェンは少し引き気味に首を振った。
「そうか」
リリーはカルジェンを見てそう言うとカニを黙々と食べ進めた。
「美味いカニだ。身もギュッと詰まっていて食べ応えがある」
リリーはカニを食べ進める。
「新生アウスが挑む最初の試練になりそうだ」
リリーはカニの殻を焚火の中に入れた。
「リリー様、人手が欲しいです」
アウス民はリリーに駆け寄った。
「あぁ、わかった」
カニの殻を焚火の中に入れたリリーはアウス民を見てそう言うと立ち上がった。
「・・・」
誰もいなくなった広場に立つカルジェンはカニの脚を見ると立ち上がってどこかへ行った。




