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十九章 ベルカンゼウ復興

同年、八月二十七日。

東和連合は正式にアウス小国と確保していた春雫の地方を放棄。

アウス小国を含めた春雫地方は、中立国から援助を受けて復興作業を開始した。

ベルカンゼウ復興のボランティアに参加したリリーはアウス民から春雫地方に伝わる神話を聞いていた。

「混沌が世を包む時、空を纏いし黄金(おうごん)(ともしび)が立ち上がる。黄金の灯は混沌を打ち砕き、我々に再び空を見せてくださるのだ」

アウス軍の元兵士はそう語る。


話を聞き終えたリリーは鹵獲されていたアウス軍の軍艦の解体現場を見ていた。

残った軍艦は金属材に変わり、街の復興で使われる。

リリーは祖国を守るために造られた軍艦が祖国の傷を癒す風景を見て小さく拍手していた。

「・・・どうして拍手するの?」

隣に立ったのは青い瞳に薄青緑の髪を靡かせた疑似神姫、カルジェン・バースだった。

「かっこいいからだよ。本来の役目を終えてなお建材となって国を支える。最後まで見事な愛国者だ」

リリーは建物の建材として使われる金属材を見て笑みながら言った。

「・・・そっか・・・愛国者か。すごくいい考えだね」

リリーの言葉にカルジェンは意外そうに目を丸くしてやがて穏やかな笑みを浮かべた。


休憩を終えたリリーは、昼飯の食材を狩っていた。

国家という法治組織が崩壊した地では、力こそが法だ。

数少ない猟銃やボウガンを構える大人たちを尻目にリリーは二つの網を器用に操り橘花国が持ち込んだ巨大な水生哺乳類を次々と捕獲していく。

「頼もしいねぇ」

焚き火の準備をしていたアウスの女性が獲物を抱えて戻ってきたリリーを見て感嘆の声を上げた。

リリーは無造作に獲物を差し出し女性が大きなナイフで豪快に捌く様を眺めていた。

「・・・君、こういう生き物を食べることに抵抗はないの?」

焚き火の傍らでカルジェンが問いかける。

「別に」

リリーはそう言いながら焚火の傍に座った。

「たくましいねぇ、本当に」

血のついたナイフを休めてアウスの女性が笑う。

「はぁ・・・まともな食べ物があると思ったのに・・・」

カルジェンはため息交じりに落胆の声を漏らす。

「まぁ、晩ご飯はまともな食べ物を食べれるさ」

リリーはカルジェンを見て笑みながらそう言った。

「・・・」

カルジェンは黙って焚火を見つめる。


晩御飯の時間になると、たくさんのアウス民が飲食物を求めて広場に集まった。

「ほっ」

リリーは薪に小さな赤い光の粒を飛ばした。

小さな赤い光の粒は薪に当たると、炸裂して激しい炎を起こし、薪に火をついた。

焚火ができると、広場はランプの光で明るなり、温かくなった。

「おぉ~!」

アウス民たちは復興に参加する各国の軍人を威圧するように綺麗に並んで進むII-141 レイスの大部隊を見て歓声を上げる。

「レイスとオーダーさえあれば月浜も東和連合も何もできやしないぜ!」

酔った元アウス陸軍兵1は酒を片手に大騒ぎする。

元兵士が酒を片手にL-51 orderの夜間飛行を見て騒ぐ中、リリーは黙々と食事をしていた。

「今日は騒ぐぞ!!」

アウス民たちは酒を片手に立ち上がり始めた。

「・・・」

リリーは陽気に歌い始めるアウス民たちを見て笑む。

「・・・」

カルジェン・ヴォーン・ベイツはリリーを見ながら骨付き肉を食べた。

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