百七十五章 終末に向かって
訓練を終えたオレンジたちは航空輸送船の建造現場を見ながら犬の世話を始めた。
「この子たち、なんていう種類の犬ですか?」
オレンジはメカニック部門の組織員たちに訊ねる。
「マモトリー」
メカニック部門の組織員は一日の記録を見返しながら答えた。
「へぇ~マモトリーっていうんだ」
オレンジは犬を撫でる。
同年五月十九日、午後十二時一分。
大陸南部で神が狂神に、人が闇化生物になる現象が発生した。
梨々香は神軍に大陸南部に住む住民を救助するように命令。
大陸南部で宿幼決戦初となる大規模な救助作戦が展開された。
戦闘特化のレムフィト隊、指令特化の第九大隊、メカニック&救助特化の希望の隊から成るレムフィト大連隊は、大陸南部上空に到達すると同時に組織員と救助犬を投入した。
大陸南部の多くの国家が神軍に従って避難勧告を出す中、サウスドラゴニア王国は救助を拒否した。
サウスドラゴニア王国軍は疑似神具を手にリベードリヒが率いる狂神と闇化生物に対抗した。
しかし、疑似神具は何の役にも立たず、サウスドラゴニア王国はネズミ算方式に増える闇化生物に滅ぼされた。
同年、五月二十日。
大陸南部から来た一部の避難民たちがミリア国に到着した。
「おぉ!神滅と希望を司る白き神グローニア様!!聖なる黄金の光で私たちを護り給え!」
ミリア大聖堂に集まる魔神信仰の信者たちは赤紫色の窓ガラスがはめられた窓から青く染まった空を見つめる。
「どこの国にも宗教というものはありますが、ここは多宗教が過ぎやしませんか?」
キャロッティはカップラーメンにお湯を入れる。
「新しい国というものはそういうものだよ。数十年という時を経てようやく落ち着くの」
カエデはミリア大聖堂を見つめる。
「神様を滅することって本当にできるんですか?」
キャロッティは勝手に開くカップラーメンの蓋を手で押さえると、その上に木の板を乗せた。
「そう言われてるからにはできるんじゃない?」
カエデはキャロッティを見る。
「どういう原理なんでしょうか」
キャロッティはカエデを見る。
「気気滅却法を利用してるんだよ」
「気気滅却法・・・と言うのは、大きな力を持つ神が衝突した時に起きる現象ですよね?」
「そう」
「じゃあ、神滅の力って気気滅却法のことなんですか!?」
キャロッティは少し驚く。
「そう」
「気気滅却法って、世の大権を持った魔神も起こせますよね?その神にしかない力じゃないですよね?」
「そうだね」
「・・・どうしてそれが神滅の力と呼ばれてるんですか?」
キャロッティはカエデを見て困惑する。
「わからない」
「わからない・・・」
眉を顰めたキャロッティは増々困惑する。
「神滅と希望の神って言う肩書の初出は初代銀氷グヴァンゼァムみたいだし、その能力を知るのも初代グヴァンゼァムだけだった。でも、その初代グヴァンゼァムは淵の神迎撃戦で戦死してしまった」
「陛下も知らないんですか?」
眉を顰めたキャロッティはカエデに訊ねる。
「見たことはない。とだけ言ってた」
「じゃあ、知ってはいるということですか?」
「わからない」
「うーん・・・」
キャロッティは腕を組んで悩んだ。




