百七十四章 救助訓練
同年、五月一日。
ミリア宿幼討伐隊五班は救助訓練に参加するため神軍拠点艦一番艦イクイノックスに来ていた。
大小様々数千もの部隊が集合して訓練を始める。
イクイノックスの住民や観光客は訓練が行われると事前に通達を受けているものの、いつどのタイミングで始まるかはわからない。
イクイノックス全体が緊張感に包まれ、いつもの騒がしさは半減している。
そして、正午十二時四十一分。
ついに救助訓練が始まった。
神気異常によって全ての地上の通信設備が使えなくなった危険な状態が再現されたイクイノックスに神軍の部隊を乗せた航空戦力が次々と投入された。
真っ先に投入されたのは、中央大連隊。
グラディス率いる精鋭戦闘集団のミリア宿幼討伐隊、ローラ率いる精鋭指揮官集団の第六大隊、そして、訓練を受けた犬とメカニックが集まった精鋭救助部隊ホープ・ドッグスによって構成された巨大な部隊である。
「予想神気濃度は+域二十八万P.E。ホープ・ドッグスの活動可能時間は約一時間三十分。少しのミスも許されないということはわかっていることだろう」
ローラはオレンジたちを含めた中央大連隊を見つめる。
「私たちに必要なのは極限の判断力だ。感情を捨てろ。全てを救えるなんて思うな。必ず何かが犠牲になる」
オレンジたちはローラの言葉を胸に準備を進めた。
「降下地点まで残り三分」
メカニック部門の組織員たちは放送を聴きながら犬たちに装備を付ける。
「最終点検良し!」
「装置の感度良好!」
「情報確認できました!」
メカニック部門の組織員たちはローラたちに報告する。
「みんなを頼んだよ」
オレンジたちは犬たちを見つめる。
「降下開始」
ローラの言葉と共に後方のハッチからミリア宿幼討伐隊とホープ・ドッグスが飛び出した。
落下傘が外れて地上に解き放たれた大量の犬が一つの町を時速八十八キロという凄まじい速さで駆けまわって受信・送信ケーブルを張り巡らせる。
「レンチ」
メカニック部門の組織員が手を出すとアージヴァイズがレンチを渡した。
メカニック部門の組織員は凄まじい速さで通信装置を組み立てていく。
あっという間に通信が回復すると救助活動が始まった。
犬たちは建物の中に閉じ込められている市民役の組織員を次々と発見し、救助活動は凄まじい速度で進んでいく。
四十七分とかなり早い時間で救助が完了してみんな航空輸送船に戻った。
「本番では瓦礫や闇化生物の発生によって救助が難航すると言われている。そこに住民のパニックなどが合わされば、より救助は難航するだろう」
ローラは記録を見る。
「今のまま本番に臨めば確実に全滅することになるぞ。やるべきことを全て体に叩き込め」
ローラはオレンジたちを含めた中央大連隊を見た。
「はい!!」
オレンジたちを含めた中央大連隊は大きな声で返事をした。




