百七十二章 友とのひと時
同年、三月二十八日。
ヒルデガルトは隣にある梨々香の家に行った。
「大丈夫かい?」
ヒルデガルトはドアを開ける。
「いらっしゃい。大丈夫だよ」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「君はいつもいつも無茶をするね」
ヒルデガルトは梨々香を見て呆れたように話す。
「申し訳ないね」
「まぁでも、悩みが一つ消えたのは良いことだ」
ヒルデガルトは椅子に座る。
「華千﨑の地に渡った姉上ってどんな感じだったんだい?」
ヒルデガルトは梨々香に訊ねる。
「まぁ、騒がしくていつも動き回っていて・・・回遊魚のような人だったよ」
梨々香はマグカップにお茶を淹れた。
「リウトガルトには私も梨子ちゃんもよく振り回された」
梨々香はマグカップをヒルデガルトに差し出した。
「僕が知っている姉上は図書館に引き籠っている根暗な人なんだけどね」
ヒルデガルトはマグカップを受け取った。
「華千﨑の地に渡って変わったんだね」
ヒルデガルトはお茶を飲んだ。
「そうなんだろうね」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「しかし・・・リウトガルトがどこかに引き籠ったりする人だったなんて想像できないな」
梨々香は昔を思い出す。
「姉上はみんなと上手くやれていたのかい?」
「何だかんだ上手くやれていたよ」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「回遊魚みたいな人がみんなと上手くやれていたなんて奇跡だね」
ヒルデガルトは梨々香を見て笑む。
「まぁ、あの集落には個性的な人しかいなかったからね・・・あんなリウトガルトでも集落の中では影が薄い方だった」
梨々香は昔を思い出して苦笑いする。
「影が薄い方だったってどんな魔境だよ・・・」
ヒルデガルトはつられて苦笑いする。
「すごい場所でしたよ」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「そうだ、お昼はどうする?何か作るのかい?」
ヒルデガルトは梨々香を見て笑む。
「良いよ、作ろうか。何が良い?」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「お寿司!」
「寿司か・・・」
梨々香は考える。
「手巻き寿司なら簡単にできるよ」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「買い物に行こうか」
梨々香は立ち上がった。
「普通の握りも作ってよ」
ヒルデガルトは立ち上がる。
「私は一応ケガ人だぞ?少しは気を遣えよ」
梨々香はヒルデガルトを見て笑う。




