百六十六章 魔剣士と恐れられた彼女は
千七百年に入り、大陸各地に居た古の民族がミリア国に移住して商売を始めた。
北極島の民族グローニアキャット、南極大島の民族燦水天狐。
燦水天狐は商売が上手くすぐに勢力が拡大。一方のグローニアキャットは商売は下手だが、伝統料理という誰も真似ができない料理を売って稼いでいる。
どちらの民族も遠くもなく近くもない関係で過ごしている。
「わかってはいたが、燦水天狐族は安全な場所を見つけると途轍もない勢いで増えるね」
梨々香は窓から外を見る。
「不味かったですか?」
桜は梨々香を見て笑む。
「宿幼決戦で安全地帯となるのはこのミリア国だけだ。今後のことを考えると、十億人未満が理想・・・現在国外に住まう者たちを受け入れられなくなる」
「若い者を増やして価値を示さぬ者たちが悪いでございましょう?若い者がいなければ衰退の一途をたどるだけです」
「その通りではある・・・ただ、多くの歴史や文化が失われてしまうのはあまりに惜しい」
梨々香は桜を見る。
同年、三月二十一日。
シュペーファームに到着した梨々香は、休暇を利用して手伝うアイリアと牧場長のアンティーナに迎えられた。
「どうも~万象様」
黄眼、灰色髪サイドポニーテール、紺色の作業服で身を包んだ色白な肌の女性、アンティーナ・カルティナーレ・シュペーは梨々香を見て笑む。
「仲良くやれているみたいだね」
梨々香はアンティーナとアイリアを見て笑む。
「嫌な時期もあったけど、それは全部過去だからね」
作業服で身を包んだアイリアは昔のことを笑い飛ばす。
アンティーナは月浜本土の戦いで負傷したところをヒルデガルトたちに助けられた元疑似神姫である。
戦禍から退くことを誓って人に戻った化け物は、信じられないほど温厚で優しい母になった。
「素晴らしい考えだ。私もそんな考えができる者になりたかった」
梨々香はアイリアを見て笑む
「梨々香の方が立派だよ。一人で何十億人の人と数千万の神を護るなんて、相当な考えがないとできないよ」
アイリアは梨々香を見る。
「ありがとう」
梨々香の言葉にアイリアが少し照れた。
「では、グリードリヒに挨拶してきますね」
梨々香はアンティーナに挨拶すると移動した。
梨々香はこの牧場に入社したグリードリヒと話していた。
「元気そうだね」
梨々香はグリードリヒを見て笑む。
「はい、とても元気にやらせてもらってます」
グリードリヒは梨々香を見て笑む。
「生き物を扱う仕事だから休むことが難しいかもしれないけど、適度に休みを取るように」
「はい、わかってます」
「じゃあ、何事もなければ来月も来るからよろしくね」
「はい!」
グリードリヒは元気よく返事をした。




