百六十三章 ミリアの時代が始まる
梨々香は解体作業が行われる泣代大社を見ていた。
「これをミリアまで運ぶんですか?」
梨々香は桜に問う。
「はい」
桜は梨々香を見て笑みながらそう答えた。
「これから南葉連もミリアで活動を再開するらしいんです。色々な派閥も復活するらしいと聞いたら、泣代連も黙っちゃいられませんよ」
桜は解体作業が行われる泣代大社を見て笑む。
「ミリアはそこまで広いわけではないんですがね・・・」
梨々香は少し不安そうに言葉を紡ぐ。
一方、アイリアは甲板にある長椅子に座って考え事をしていた。
(死星なんて堕とせるはずがない・・・リヴァもミューテも居ないのに・・・)
アイリアは缶ジュースを見つめる。
「お前さんは何度も負けてきたはずだ。負けたくないのになぜ再び刀を握る。刀を握らなければもう負けることはないんだぞ」
金色の髪とマントが風で靡き、とても大きな背中と力強い立ち姿が見える。
「ッ!!」
アイリアは師匠を思い出してハッとする。
アイリアは手に握られた黒鞘に納まった刀を見つめる。
「・・・師匠・・・」
アイリアは黒鞘に納まった刀を強く握る。
「刀を握らなければ・・・勝てないからですよ」
アイリアは黒鞘に納まった刀を見て笑む。
一方、ヒルデガルトは梨々香が不在の間に梨々香の仕事部屋に入っていた。
「梨々香め・・・何を隠しているんだ?」
ヒルデガルトは不貞腐れながらそう呟いてパソコンを起動した。
「アレス・・・」
ファイルを探し、一つのファイルにたどり着いたヒルデガルトはそのファイルを開いた。
「・・・」
ファイルの中身を見たヒルデガルトは絶句するのだった。
華ノ話 カノワ-神滅と希望の神グローニア編-
宿幼決戦、開幕
南龍王朝歴千七百年、三月二日。
ラバログ戦から時が経ち、世界が平和になりつつある。
月浜の崩壊、大陸南部の安定化、ミリア国の発展、人々にとって喜ばしいことがたくさん起きた。
「・・・」
アイリアは上を通過した小型戦姫を見た。
今の小型戦姫はL-95 吹雪型戦姫二式を小型化したL-95S。
試験操縦士はオレンジ・V・ドリェシェパノだ。
オレンジは部隊長級組織員乙に昇格したが目立った活躍はない。
あの後、ミューテ最後の弟子として神軍に残ったミッケは数々の功績を評価されて部隊長級甲に昇進した。
「戦姫の理想形といえる雪風型に習い、連射型、砲撃型、爆撃型を用意します。どうでしょうか?」
エリザベスはL-95Sの資料を見るミッケを見て笑む。
「L-95Sは戦姫じゃなく、飛行装備だ」
ミッケはL-95Sの資料を机の上に置いた。
「そ、それはわかっていますが・・・」
エリザベスは不服そうに言葉を漏らす。
「わかってるならなぜ吹雪型を基礎に武装をつけようとしている」
ミッケはエリザベスに問う。
「そ・・・それは・・・いざという時の武装も必要だと思いまして・・・」
エリザベスは弱弱しく答える。
「そんなものは手で持てる武器を開発すれば済む話だ。どうして民間への導入が考えられている装備に武装を積もうって考えが出てくるんだよ」
「人の敵は人という時代は終わった。人が生み出す武器で神が殺せるという幻想も打ち砕かれた」
ミッケは腕を組む。
「今の時代、剣技や砲技が使えない人間は無力だ。人を苦しめてきた魔弾も爆薬も弾丸も・・・全てがゴミだ」
腕を組んだミッケは安堵したように言い放つ。




