百六十二章 月浜の終焉
「ほぅ・・・その気配、貴様が世の主だったか。リベードリヒ」
ビゼルは最上大業物燦永六華を一振りするとリベードリヒに向かった。
「貴様は私の眷属でしかないのだ」
リベードリヒは斬りかかって来たビゼルの腕を不可視の斬撃で切り落とした。
「・・・」
ビゼルは腕と共に宙を舞う第三の神具を見ながら退く。
「何をしようと私には敵わない」
第三の神具をキャッチしたリベードリヒは氷の斬撃を避けた。
「喜べ、宿幼。雑魚と罵られるお前はもういない!!」
リベードリヒが第三の神具を握り込んだその瞬間、結晶淵地の紅い結晶が青白く変化した。
「ふん・・・ここは退くしかなさそうだな」
ビゼルは最上大業物燦永六華で重海の首を刎ねると神核片を拾った。
「・・・」
氷の粒になって去るビゼルを見送ったリベードリヒは自身に第三の神具を突き刺して吸収した。
第三の神具を吸収したリベードリヒは青い光になって結晶淵地から出た。
一方、アイリアとミッケは神軍幹部たちと合流して話をしていた。
「何が起きたんだろうね」
ヴェルベサは凍りついた大穴を見つめる。
「ねぇ?」
ヴェルベサはアイリアとミッケに問う。
「わからないよ」
アイリアはヴェルベサに答えた。
「南方での単独行動は規律違反だよ。部隊長でありながら隊員を置いていくなんて責任感足りないんじゃない?」
ヴェルベサはミッケに問う。
「軽率な行動でした。責任を取って神軍から去ります」
ミッケはヴェルベサを真っすぐ見つめる。
「そう言うことは私に伝えてくださいな」
梨々香の声が聴こえると神軍幹部たちが慌てて声が聴こえた方を向いた。
「陛下・・・」
ミッケは梨々香を見て驚く。
「神軍のトップは私ですからね」
梨々香はミッケを見て笑む。
「陛下、止めないのですか?」
グラディスは梨々香を見つめる。
「止めませんよ」
梨々香はグラディスを見て笑む。
「彼女はミューテ先生の弟子です。優れた勇者になるかもしれません」
グラディスは全く動じない梨々香を見て焦る。
「ミューテは優れていますが、その弟子が優れているとは限らない」
「それに、体を欠損するほどの負傷をした子供に戦いを強いるというのは酷というものですよ」
梨々香はミッケを見る。
「・・・」
ミッケはうつむいて黙った。
「ミッケ・カーリン、退役手続きを行いながら孤児院を紹介します。考えが固まり次第、連絡してください」
梨々香はミッケを見て笑みながら連絡先を差し出した。
「・・・はい」
ミッケは連絡先を受け取った。
「総員、撤収準備」
梨々香の掛け声と共にグラディスたちが撤退準備を始めた。
一方、ラバログ南部に残っていた月浜残存勢力イェーツはリベードリヒに襲撃されていた。
「貴様・・・リベードリヒッ・・・」
四肢を斬られたサラ・ブラッド・アレンは第四の神具を持ったリベードリヒを恨みが籠った目で見つめる。
「第五の神具はあの船にあるみたいだね」
第四の神具を握ったリベードリヒは出航する拠点艦イェーツを見て笑む。
「もっと速度を出せ!全速力だ!」
ドロシー・ド・ジョンソンは無線片手に指示を送る。
「私から逃げられると思うなよ!?」
途轍もない速度で飛び上ったリベードリヒは、第一の神具で海上拠点艦イェーツの甲板を破壊して艦内に侵入した。
「・・・」
リベードリヒは第二の神具で迎撃に来た乗組員たちを斬っていった。
「ここで止める!!」
ニーナとドロシーはリベードリヒに向かってエネルギー弾を放つ。
「愚か者め!!」
神気でエネルギー弾を防ぐリベードリヒはニーナとドロシーの首を掴んで神気を注いだ。
「アァッ・・・!!」
ニーナとドロシーは苦しみながら倒れた。
「・・・」
機関室の防御壁を第三の神具で斬り壊したリベードリヒは笑みながら赤色の稲妻を放ちながら宙に浮かぶ第五の神具を見た。
「あぁ・・・感じるぞ、宿幼。素晴らしい高揚感だ!」
リベードリヒは笑みながらそう言うと第四の神具を振り下ろして第五の神具の活動を一時的に止めた。
リベードリヒは第五の神具を握ると自身に突き刺して吸収した。
「近づいている・・・私の世界が・・・」
リベードリヒは全身に駆け巡る力に歓喜する。
次の章から第六部 宿幼決戦に突入します。
神軍と宿幼の決戦がついに始まります。
どうぞお楽しみに。




