百五十三章 明乃天道
同年、八月二十日。
アージヴァイズたちが朝食をとっている中、ミッケはペテゼのシュム町に来ていた。
「七陽の勇者がそんなに集まるなんてあっていいんだろうか・・・」
ミッケは考える。
「でも、七陽の勇者がまとめてかかれば死星ラーフィアも流石に・・・」
考え事をするミッケの背後に闇化生物・水牛が迫っていた。
「・・・」
ミッケは修理・改造された大業物明乃白隼を握ると鞘に搭載された機械仕掛けが動いて大業物明乃白隼が鞘から外れた。
大業物明乃白隼を握ったミッケは闇化生物・水牛を避けて首を斬った。
闇化生物・水牛は脱力して地面を滑りながら灰になった。
「・・・」
ミッケは周りに集まる闇化生物・水牛を見た。
闇化生物は一斉にミッケに突撃する。
「七陽の勇者でもないのに容赦ないにゃ~」
ミッケは闇化生物・水牛を見て笑む。
「天道、暗天晴らす陽矛!」
アイリアの声と共にミッケの前に陽の矛が突き刺さって炸裂した。
陽の矛は炸裂と共に陽光を放ち、闇化生物たちを一瞬で聖陽水晶に変えた。
「・・・・・・アイリア・・・」
陽光を浴びるミッケは目を見開く。
最上大業物日炎を握ったアイリアは着地してミッケを見た。
「大丈夫?神軍の組織員」
アイリアはミッケを見て笑む。
「アイリア!アイリアだよね!?」
ミッケはアイリアを見て嬉しそうに笑みながら駆け寄る。
「・・・ごめん・・・誰だっけ?」
アイリアはミッケを見て申し訳なさそうに尋ねる。
「ミッケだよ!ミッケ・ローゼ・カーリン!」
ミッケはアイリアを見て必死に話す。
「・・・あぁッ!!」
アイリアはミッケを見て目を見開いて大声を上げる。
「君、一人?」
アイリアは使い込んだ短い鉛筆で本を書き写すミッケを見てそう言った。
「・・・私、獣人だからさ・・・」
鉛筆を止めたミッケは少し悲しそうに言った。
「あの時のグローニアキャットか~!」
アイリアはミッケを見て笑む。
「雰囲気全然違うからわからなかったよ!」
アイリアは最上大業物日炎を黒鞘に納める。
「生きてたの!?死んだって聞いてたのに!」
ミッケはアイリアを見て笑む。
「あの時は情報が錯綜してたからね・・・正しくは、死にかけた」
「死にかけた?」
ミッケはアイリアを見る。
「梨々香、当時はリリーだったけど・・・まぁ、助けられてさ。ミューテに治療してもらって何とか助かったって感じ」
「師匠は本当に死んだの!?師匠のことだから、どこかで生きてたり・・・」
ミッケはアイリアに問う。
「・・・ミューテは死んだ。梨々香も医者たちも助けようとしてたけど、本人の意思で・・・」
アイリアはミッケを見つめる。
「師匠・・・どうして・・・」
ミッケはうつむいた。
「アイリアァァァァ!!!!」
屋根に乗った宿幼魔塊第九眷属アマテルはアイリアを見て叫んだ。
「月浜残党軍の奴!!」
ミッケはアマテルを見て驚く。
「へぇ~魔塊眷属になったんだ。どの魔塊が主か知らないけど・・・」
アイリアはアマテルを見て笑む。
「全然怖くない」
アイリアは黒鞘から最上大業物日炎を抜いた。
「・・・支援する」
ミッケは大業物明乃白隼を構える。
「じゃあ、任せちゃおうかな」
アイリアはミッケを見て笑むと、アマテルに向かって走った。
「アイリアァァァァ!!!!」
アマテルは叫びながらアイリアに液状闇を飛ばした。
「天をかけよ!」
大業物明乃白隼を握り込んだミッケは刀身に陽光を纏わせた。
「明乃白隼」
ミッケは大業物明乃白隼を力強く掲げた。
「夜明だとッ!?」
アマテルは薄っすらと現れた曙陽を見て驚きながら両腕で陽光を防いだ。
アイリアに放たれた液状闇が灰になって消えた。
そして、陽光はアイリアに力を与える。
「天道、魔払円斬!!」
「神技!六手闇斬!!」
アマテルは六本の腕でアイリアに殴りかかるも最上大業物日炎が先に振り下ろされた。
「アッ!!」
最上大業物日炎がアマテルの頭を斬ったその瞬間、アマテルが聖陽水晶になって砕けた。
黒くくすんだような立方体の金属塊が地面に転がるとアイリアは透かさず黒くくすんだような立方体の金属塊に最上大業物日炎を突き刺した。
その瞬間、神気異常・常夜化の一部が解除されてヒビの間から朝空が顔を見せた。
「アイリア!大丈夫!?」
ミッケは倒れ込んだアイリアを抱える。
「タベモノ・・・モッテナイデスカ?」
アイリアはお腹を鳴らす。
「あぁ・・・うん、あるよ」
ミッケはアイリアを見て笑む。




