百四十章 狼
ミッケたちはいくつかのテントに分かれて荷物を置くと探索を始めた。
ダルタ民はみんな赤ワインを飲み、第五十四魔塊眷属討伐隊の文句を言っている。
第五十四魔塊眷属討伐隊は大陸の北部や東部で万単位の闇化生物を討伐してきた精鋭たちだ。
しかし、そんな精鋭組織員たちであってもこのダルタでは力及ばず、そのほとんどが命を落としてしまった。
「・・・不安になって来た・・・」
眉を顰めたアージヴァイズはそう呟いた。
一方、一人で外周を歩いていたミッケは二人のダルタ民に声をかけられていた。
「ミッケ!ミッケだろう!?」
二人のダルタ民はミッケを見て笑む。
「・・・」
足を止めたミッケは二人のダルタ民を睨んだ。
「お母さんよ?どうしてそんな顔をするの?せっかく再会できたのよ?」
「お前を売りに出したことを怒っているのか?」
「もう昔のことじゃない。そんなこと、忘れましょ?」
二人のダルタ民はミッケを見て微笑む。
「ナタリー・ベクチャー・クロイス、クライス・ローゼ・カーリン。ここにいるのは宿幼じゃないな?」
ミッケはベルトに差してある黒鞘に納まった刀を少し前に出して柄を握った。
「何を言っているの?」
「そうだぞ」
二人のダルタ民はミッケを見て微笑み続ける。
「お前たちは既に死んでいるんだよ。私が殺したから・・・ずっと覚えてる」
「・・・」
二人のダルタ民は冷たい目でミッケを見つめた。
「・・・お前に何ができる・・・華千崎の犬如きが!!」
ダルタ民が叫んだ瞬間、首から液状闇が垂れて首が落ちた。
「犬か・・・」
ミッケは曙色の炎を纏う大業物明乃白隼を一振りした。
もう一人のダルタ民は聖陽水晶を見て腰を抜かす。
「その犬、狼じゃないか?」
曙色の炎を纏った大業物明乃白隼を構えたミッケは腰を抜かしたダルタ民を見つめる。
「へ、ヘギャッ!!」
ダルタ民がミッケを見て悲鳴を上げたその瞬間、大業物明乃白隼が首を刎ねて炎が広がった。




