百三十二章 唯一の家族
「どうした?」
カスミが下位組織員数名に呼ばれて訓練場まで来た。
「たくさん訓練して強くならないと・・・誰も守れないじゃないですか」
キャロッティはアージヴァイズの弟子たちの反応を見て困惑する。
「問題が起きたと報告を受けて来たけど」
カスミはアージヴァイズの弟子たちに向かう。
「あぁ、いや、そのぉ~・・・」
アージヴァイズの弟子たちはカスミを見て焦り始めた。
「何したの?」
カスミはアージヴァイズの弟子たちを蔑んだ目で見る。
「そ、その・・・嫌なことされてるからどうにかしてくれって相談を受けて!」
アージヴァイズの弟子たちはカスミに報告する。
「誰から?」
カスミはアージヴァイズの弟子たちに問う。
「ダメだ!」
キャロッティが大声でそう言った瞬間、カスミが胸ぐらを掴んで投げ飛ばした。
「・・・」
地面に倒れたキャロッティは向けられた木刀を見て目を見開き、冷や汗をかいた。
アージヴァイズの弟子たちは腰を抜かした。
「お前に教えてやろう。太陰剣技がなぜ禁忌と呼ばれているかを・・・」
木刀を向けたカスミはキャロッティを見つめる。
「あの剣技は生き物を三度殺す。魂の死、記録の死、肉体の死だ」
「・・・」
キャロッティはカスミを見て冷や汗を垂らす。
「奴の魂はハウレティアで死んだ!次に死ぬのは記録だぞ!」
カスミはキャロッティに怒鳴った。
「記録・・・が・・・死ぬ?」
キャロッティは言葉を絞り出す。
「忘れられるんだよ!!存在したことすら・・・全部ッ!!」
カスミの言葉にキャロッティは言葉を失い、アージヴァイズの弟子たちは唖然とする。
「このままだと大切な人が忘れられてしまうよ?この世界から・・・」
カスミはキャロッティを見つめる。
「・・・」
キャロッティは腕で目元を覆って静かに泣き始めた。
「失って後悔する前に何とかしなよ。唯一の家族なんだろう?」
カスミは訓練所の出入り口に向かって歩き始めた。




