十二章 旅する二人
同年、八月十一日。
リリーが戻って来ないとアウス仮設基地で騒動になり、捜索が始まった。
捜索が行われている時、リリー・グローニア・ハッゼウは婚約者のリベードリヒ・コニファー・グヴァンゼァムと北海にあるレムフィト領クォーツ島へ来ていた。
リリーとリベードリヒはしばらくの間、懐かしそうに採掘場跡地を見つめた。
同年、八月十五日。
月浜艦隊の進撃を受け、アージヴァイズが第一の神具を携えてレムフィト支部へ出撃することになった。
「リリーのやつ、マジでどこ行っちゃったんだよ・・・」
出撃直前、アージヴァイズは苛立ちと不安を隠せずにいた。
「捜索隊二千人を動員していますが、足取りすら掴めません」
「チッ・・・で、アウスの防衛はどうすんだ。あっちにはクイーンキャットとポンコツ戦姫しかねえだろ?」
「ゼレヴィアンとゴールドマスターを出す。操縦士は新兵のマルガレーテとドリェシェパノだ」
軍人の答えは、アージヴァイズを戦慄させた。
「はぁ!? あの五歳のガキどもにあんな機体を預ける気かよ。正気か?」
「リリーが居ない以上、それしか手がない」
「自分勝手な奴だ、全く・・・」
ドン引きするアージヴァイズに軍人たちは溜息で応じる。
「・・・・・・どいつもこいつも仕方ねぇな」
アージヴァイズは胸元のペンダントを強く握り締め、自身の戦姫、AA-09A-2 レプシデシアを展開した。
錆び付いた第一の神具を背負い青と黒のドレスを靡かせる彼女は重い空を切り裂くように上昇していった。




