十一章 神の雫
アージヴァイズたちが食事をしている時、さやかは東和連合の総長である橘 ひより橘花国皇姫と通話していた。
「レムフィト支部を放棄!?ダメに決まってるじゃない!」
ひよりの怒号が画面越しに響く。
「お婆様から神具の確保を優先せよと伝えられています。神具の確保が最優先です。兵力を分散させれば、どちらも失うリスクがあります」
さやかは冷静に返した。
「条約があるのよ!東和連合のメンツを潰す気!?」
「・・・・・・」
さやかはひよりを見て黙った。
「何のためにアウスのガキを連合に入れたと思ってるのよ!このポンコツ!出来損ない!」
ひよりは机を叩きながら怒声を浴びせる。
「は・・・」
さやかは弱々しく返事をする。
「アウスはエコー・ゼレヴィアンとオレンジ・ゴールドマスターで防衛。レムフィトはリリー・ゼノクイーンとアージヴァイズ・レプシデシアで防衛。良いわね?」
そう話すひよりの横で使用人たちが豪華な料理を広げる。
「・・・わかりました」
さやかは色々な感情を押し殺して返事をすると通話を切った。
その頃、リリーは神軍拠点艦イクイノックスの総帥室にいた。
潜入員の八道 カエデから受ける報告は、地上の小競り合いよりも遥かに重大なものだった。
「・・・・・・森羅双神ともあろう者が潜伏していると?」
リリーは八道 カエデを見てそう言った。
「はい、可能性は極めて高いかと・・・」
カエデはリリーを見つめる。
「わかった」
「それから、リベードリヒ様についてですが・・・」
「何かわかったか?」
「検査の結果、液状神気から異常なまでの種類の神気が検出されました」
カエデはそう言うと資料を差し出した。
「・・・予想通りかもしれない・・・」
リリーは資料を受け取って資料を見る。
「悪くないなら気に留めないようにいたしますが」
カエデはリリーを見てそう言った。
「悪くない。むしろ、良い方向に行くだろう」
リリーはネックレスを取り出し、薄紫色の液体がゆっくりと回る雫型のペンダントトップを見つめる。
(リベードリヒも私と同じ存在か)
リリーは確信めいた笑みを浮かべるとネックレスをしまった。




