百二十三章 華千﨑一族の教え
同年四月二十八日、午前一時。
梨々香は料理を持ってヒルデガルトがいる家に行った。
「ヒルデガルト、生きてるかい?」
料理を持った梨々香はドアを開ける。
「ひゃぁぁぁぁ!」
風呂上がりのヒルデガルトは赤面して悲鳴を上げながら梨々香にたわしを投げた。
「あたッ・・・」
たわしが当たった梨々香は声を漏らす。
「訪問する時間を考えたらどうだい!僕の生活リズムは教えたはずだ!」
赤面したヒルデガルトは梨々香に怒鳴った。
「申し訳ない」
梨々香は机の上に料理を置いた。
「いや・・・よく考えなくても悪いのはこっちだ・・・」
ヒルデガルトは恥ずかしそうに言った。
「そこに座ってても良いけれど、こっちは見ないでくれよ?」
ヒルデガルトはソファーに座った梨々香を見る。
「見ないよ」
梨々香はヒルデガルトに背を向け続ける。
ヒルデガルトはパジャマを着ると梨々香の隣に座った。
「もうこっち向いて良いよ」
ヒルデガルトは料理を見る。
梨々香はソファーに座り直した。
「君はどうして僕を気にかけるんだい?得なんて何もないだろう?」
ヒルデガルトは梨々香を見る。
「君は妹みたいなものだからね。気になってしまうんだ」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「妹・・・」
ヒルデガルトは少し膨れる。
「それに、華千﨑一族には損得よりも情を大切にせよという教えがある」
梨々香はサランラップを取る。
「私の先祖、華千﨑 蘭甜が言ったとされていて・・・」
梨々香が語り始めると、ヒルデガルトが料理を手に取って食べた。
「美味しいかい?」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「美味しいよ」
ヒルデガルトはピザを食べる。
「しかし、君はピザまで作れるようになったのか」
ヒルデガルトはピザを見て笑む。
「ピザに餅を入れるっていうのは実に君らしい発想だ。中々に美味しい」
ヒルデガルトは梨々香を見て笑む。
「外道と言われなくて安心したよ」




