百十九章 神の集い
梨々香とヒルデガルトは肉を食べ進めていくが、モニターに映されている神気波動は乱れない。
サスキアたちは神気抑制剤で弱らせて捕まえるという作戦を諦めた。
「美味しかった?」
梨々香はヒルデガルトを見て笑む。
「うん、とっても!」
ヒルデガルトは梨々香を見て笑む。
「僕はとても後悔しているし、この後悔は一生消えない。でも、やっと君にも謝れた」
ヒルデガルトは歯を見せて微笑む。
「ずっと逃げやがって。会いたかったんだぞ?」
梨々香とヒルデガルトはレジに行き、支払いを始めた。
「美味しかったよ。ごちそうさまでした」
梨々香は財布から紙幣を取り出す。
「・・・」
冷や汗をかいた月浜軍の新兵は梨々香を見ながらエネルギー弾搭載の拳銃に手をかけた。
「緊張しなくても良いんですよ?そう易々と殺したりはしませんから」
梨々香は月浜軍の新兵を見つめる。
「クソ!!」
月浜軍の新兵はエネルギー弾搭載の拳銃を梨々香に向けた。
「おや?随分と物騒だ」
梨々香はエネルギー弾搭載拳銃を見る。
「冷月剣技・・・月輪一閃!!!!」
名剣アリアを握ったサスキア・センノラはそう叫ぶと梨々香の背に剣を振った。
梨々香が黒鞘に納まった刀で名剣アリアを防ぐと衝撃波で店と辺り一帯が吹き飛んだ。
「どりゃぁぁぁぁ!!!!」
土煙の中、紅い剣身の剣、B-10H Phyllisを握ったフィリス・フォッドーが叫びながら梨々香に突撃する。
「・・・」
梨々香が突撃してくるフィリス・フォッドーを見たその時、天星眼を開眼させたヒルデガルトは両手を広げた。
その瞬間、疑似神姫の疑似神気エネルギーが気化して抜け始めた。
「な、なにが起きてッ・・・!」
サスキア・センノラは苦しそうに倒れる。
「誰のおかげで呼吸できているか、誰のおかげでものを食べられているか、誰のおかげで眠れているか」
「もっとよく考えるべきだったね」
ヒルデガルトはサスキア・センノラを袖で指した。
「お前が居なくても・・・私たちは生きられる!!」
冷や汗を垂らすサスキア・センノラは苦しそうに言うとポーチから金属製のキューブを取り出した。
「・・・」
ヒルデガルトは金属製のキューブを見た。
「お前たちはここで終わりだ!!」
サスキア・センノラがそう言うと金属製のキューブはキラキラと音を立てながら高速回転して変形して針になった。
その瞬間、ヒルデガルトが手ごと金属製の針を踏み潰した。
「・・・」
サスキア・センノラは冷や汗を垂らしながら唖然とする。
「我が子のような疑似神姫から希望を奪うなんて、とんでもない奴だ」
重海はヒルデガルトを見つめる。
「長くなりそうだ・・・」
梨々香は地面に座った。
「誰が我が子だ。僕は処女だぞ」
ヒルデガルトが重海を見て少し怒りながらそう言うと、異形と化したサトリが重海の目の前に降って来た。
サトリはもう体を再生することができず、崩れかけでドロドロだ。
「・・・」
重海はサトリの攻撃を回避した。
「・・・返せ・・・返せッ・・・!!」
サトリは重海に向かって叫ぶ。
「・・・」
重海が刀を生成した瞬間、サトリのドロリとした手が重海の手を弾いた。
それと同時に幻想乱気になって飛び散った。
(・・・こんな技まで持っていたか)
重海は腕から出る液状闇を見ると、腕を振って液状闇をサトリに飛ばした。
「針!」
重海がそう言うと、飛び散った液状闇が血針塊に変わった。
高速で飛翔する血針塊はサトリに刺さり、サトリが吹き飛んだ。
「核を失ったのにここまで活動できるとは・・・何か痕跡を喰らったな?」
梨々香はサトリを観察する。
「閣下!」
ニーナ・カルジェルドは重海の近くに着地した。
「皇堂隊と合流した橘花軍が国境を越えて月浜に向けて進軍中。橘花海軍が東咲海域へ集結し始めているとのことです」
ニーナ・カルジェルドは重海に報告する。
「・・・包囲される前に逃げるぞ」
重海は足早に月浜内地に戻っていった。
「あぁ・・・懐かしき顔・・・」
サトリは梨々香を見つめる。
サトリが梨々香に手を伸ばしたその瞬間、何かが割れるような音がしてサトリが苦しみ始めた。
サトリは全身から血色の液状神気を大量に噴き出す。
「ヒルデガルト、童憑きの神核片は高咲 重海とビゼルが持っている。最悪の事態に備えて追ってくれ」
梨々香は立ち上がる。
「わかった」
ヒルデガルトは空中に光球を投げてそこに瞬間移動した。
「アァァァァァァァァ!!!!」
サトリは悲鳴を上げながら巨大化していく。
「少し・・・戦うとしますか」
飛び上がった梨々香は神刀華炎を生成してゆっくりと握った。




