百十章 黒式力塊
(これは・・・幻想なんかじゃないッ・・・!!)
サトリがリベードリヒから離れようとしたその瞬間、サトリの体内から発生した氷柱が全身を貫いた。
「・・・・・・」
リベードリヒはサトリを貫く氷柱に引っかかった宿幼の神核片を手に取った。
午後八時九分。
橘花国の居酒屋でひよりが酒を飲んでいた。
「サンティラ海戦の戦況をお伝えします。駆逐艦タウンウィル、轟沈」
客たちは戦況報告に歓喜するも、歓声はすぐに消えた。
「軍艦峰、轟沈。軍艦宮使、轟沈。軍艦天風、轟沈」
機械音声は次々と橘花海軍が有する戦艦や空母の名前を挙げていく。
「はぁ・・・また大敗かよ」
「サンティラに負けるようじゃもう終わりだな」
客たちはテレビを見ながら話す。
「・・・」
ひよりは黙って酒を飲み進める。
酷く酔ったひよりは千鳥足で帰路につく。
「クソ・・・全部あいつのせいだ・・・全部あいつらのせいだ・・・」
ひよりは荒れ果てた町を歩く。
「絶対に勝つ・・・何をしても勝つ・・・この国の主は私だ・・・」
ひよりは燃やされた橘花国旗を見て拳を握り込んだ。
「素晴らしい。邪念に塗れたその魂・・・」
夜闇の中、青眼を光らせるリベードリヒはひよりを見て笑む。
「・・・あ、あぁ・・・」
ひよりはリベードリヒを見て腰を抜かした。
「君は選ばれし者だ」
リベードリヒはひよりに近づく。
「奴らを・・・神を殺す力が欲しいだろう?」
リベードリヒはひよりを見て笑む。
「・・・」
ひよりは驚きながらリベードリヒを見上げた。
「僕が君に力を与えよう」
リベードリヒはひよりに金属製のキューブを差し出した。
「・・・力・・・」
冷や汗を垂らすひよりは金属製のキューブを見つめる。




