秘密
「誰かが秘密にしているものこそ知りたくなるというか、秘密って甘美な響きがしてどうにか知りたくなっちゃうんだよね」
「えぇ……。それはどうなん」
「多分誤解を産んだから説明させて欲しい。秘密って言ったってこう、相手が『何か秘密隠してます!』なんて言ってくれなきゃ気にならないんだけど、君にだけは言わない! みたいな秘密ってどうしても知りたくなっちゃうんだよ」
「あー。それはちょい分かる。んでもさ、結局相手が言わないって決めてるなら知りようがないよな」
「そうなんだよ。そう、そうなんだよ。ずっとその秘密って何? ってそればっかりが頭に残るからそうなっちゃうと知りたいって思うんだよね」
「でも最初に言ってたのとは違ってきたじゃん。それは相手から若干透かされてるから知りたくなってるけど、最初に言ってたのは誰これ構わず秘密を知りたい人みたいに聞こえたわ」
「や、それはそれとして秘密は知りたい。誰かと秘密を共有する瞬間ってかなり好きなんだわ」
「そ、そうなんだ。なんか嫌だなぁ。秘密の共有したいって言う友人」
「逆にそういうの無いの? アイスを親に隠れてこっそり食べたとか、なんかそういう小さな秘密でも共有するとなんか心地が良いんだよね」
「それってお互いに弱みを握りあいたいとか、変な対等関係みたいなの感じるんだけど。例えが悪いのかもしれないけど、もしそうならそういう関係は嫌かなぁ」
「あー、これは例えが悪いか。ちょっと言いたいことが伝わらないんだよなぁ。なんて言えばいいか」
「これは自分が穿った考え方をしすぎてるだけだから、あんまり気にせんで欲しいな」
「あらま、了解。まぁそんな感じよ。あー、あれだ。相手の秘密を聞いて、自分の秘密を話す。そんな関係性から始まるドラマを昔に見ちゃって、それが結構な感じで面白かったのよ。それで憧れてる部分もあるわ」
「ちょっと面白そうやね。なんて名前のドラマよ」
「えー……。誠に申し訳ないんだけどタイトルを覚えてません」
「えぇ……。聞いてて面白そう! って思うもののタイトル大抵忘れてるじゃん」
「面白くないもののタイトルの方がなんか頭に残っててぇ……。また思い出したら送るわ」
「頼むわー。それで、話戻すけど秘密ってものにそこまで魅力はあるかなぁ」
「あるよ! あるある。秘密って、大抵は自分の弱いところだったり、嫌なところだったり、負の面が多いと思ってるんだけど、それをこう、打ち明けられるっていう関係性っていいなぁって思う」
「それって秘密本体よりも誰かとそういう話が出来るまで深い関係が築けたってことへの魅力の方が高くないかなぁ!?」
「……確かにそうかも。秘密を話すって言うのもある種の線引きにしちゃってた感じはあるなぁ」
「話聞いてた感じはなんかそんな感じするけど、まぁあんまり気にしすぎてもだね。じゃ、そろそろこの辺で」
「ういういー。またあしたー」
「また明日学校でなー」
三叉路で別れてため息ひとつ。秘密を知りたいだとか、今日はやけにぐいぐい来た気がする。
もしかしてバレているのだろうか。いや、まだバレてはいないだろう。そろそろ親友には言っても良いかなぁ、なんて思うけれど、これで関係性が変わっても嫌だしなぁ。まだもう少しだけ、このぬるい関係に浸って、ふと思い立ったら話そうかな。それまではどうかこの秘密がバレませんように。




