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影の囁き  作者: れい
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禁じられた祠

ユウの秘密が明らかに

リナは、気づけば祠の前に立っていた。

小さな石段を登ったその先に、苔むした鳥居がある。

屋根は崩れかけ、奥にある小さな社殿は、まるで何かを“封じて”いるような雰囲気を醸していた。


風が止み、世界が静寂に包まれる。

その瞬間、彼女の足元に、一筋の影が流れた。


「……戻ってきた……」

囁きが、耳元に這う。


振り返ると、ユウが息を切らしながら追いついてきた。


「ダメだよ……そこには近づいちゃダメだ」

ユウの目は真剣だった。震えているのは、声だけではない。

全身が拒絶しているのだ、この場所を。


「ここ……知ってる気がするの。夢の中で見たのかもしれない。

でも、違う……もっと、ずっと前から……」


「ここは“帰る場所”じゃない、“封じる場所”なんだ」

ユウはリナの手を掴んだ。


「中に入ったら、もう戻れない。昔、僕の父さんが入ろうとした。

そのあと、目が……おかしくなったんだ。

ずっとなにかをぶつぶつ言って、最後は山に消えた」


リナはその言葉に凍りついた。


祠の扉には、木札が無数に打ち付けられていた。

赤い墨で、なにかの文字が書かれている。見慣れない、奇妙な記号。

そのすべてが、中央の扉を囲むように貼られていた。


「これ……なに?」


「“封印”だよ。村の人たちが作った。

でも実際にやったのは……きっと僕の家族だ」


「ユウの……家族が?」


ユウは黙ったままうなずいた。


「この村の宗教――“ソトル様信仰”を作ったのは、ぼくの家なんだ。

ずっと、代々続いてる。

だけど……それは、信仰なんかじゃない。“支配”だよ」


その言葉に、リナは息を呑んだ。


「村人は信じてる。“ソトル様”を。

けど、それを利用してたのは……僕の祖父も、父も、母も。

“神へのお供え”と称して、村人たちから食料や金を集めて、自分たちのために使ってきた」


「そんな……」


「ぼくは、小さい頃から見てた。

村の人たちが毎月“供え物”を持ってくると、母さんがそれを奥の蔵に隠して、笑ってた」


リナは言葉が出なかった。


「……じゃあ、ソトル様って、本当は……」


ユウは、ゆっくりと首を横に振った。


「本当は、そんな存在いない。……はずだった。

でもね、あるときから、声が聞こえ始めたんだ」


リナは背筋を凍らせた。


「“戻ってきた”って、“目覚めの時が近い”って……」

ユウの目が、どこか焦点の合わない虚空を見つめていた。


「何かが、この村にはいる。

父が消えたのも、それと関係あると思ってる。

……そして、リナ。

君は、たぶん――“選ばれてる”」


その言葉に、リナの心がざわついた。

ユウは、何かに追い詰められるように話していた。

まるで、自分の中にも“別の何か”が芽生えているような口ぶりだった。


ふと、リナの目が祠の奥に引き寄せられた。


扉の隙間から、真っ暗な穴がぽっかりと口を開けている。

そこから吹く風は、冷たいというより――生温かった。


風の中に混じっていたのは、人のような、獣のような、

うめきとも笑いともつかない、不気味な“何か”の音だった。


――「……帰ってきて……」


声が、リナの名を囁いた気がした。

次の話では、ソトル様の真実!?がわかります!ぜひ読んでください!

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